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電験一種と呼ばれる「第一種電気主任技術者試験」は、電気主任技術者のなかでも最高峰の資格です。誰よりも電気に詳しいことを示すことができるでしょう。とても価値の高い資格ですが、電験一種ならではの仕事や職場は?と問われても、すぐに思い浮かばない方も多いのではないでしょうか。
この記事では仕事や転職先、試験内容や合格率といった項目を取り上げ、電験一種について詳しく解説します。
目次
電験一種(第一種電気主任技術者試験)の資格でできる仕事
電験一種はすべての事業用電気工作物について、保安監督業務に携わることができる資格です。工事や保守・運用といった業務における保安の監督者に就任できます。
電験二種や電験三種では、扱える事業用電気工作物に以下のように制約がありますが、電験一種には制限がありません。電験一種を持っていれば、どれだけ高い電圧を有する電気設備でも管理・監督を行えるということです。
資格 | 取扱い可能な電気工作物 |
---|---|
電験一種 | すべての事業用電気工作物 |
電験二種 | 電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
電験三種 | 電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物 (出力5千キロワット以上の発電所を除く) |
出典:電気技術者試験センター「電気主任技術者って何だろう?」
電験一種の有資格者の転職先
電験一種を持つ方は、電気を扱うさまざまな職場で働けます。なかでも大手電力会社は有力な転職先といえるでしょう。大手電力会社では大型の火力発電所や変電所、送電線などを保有しており、電験一種のスキルを十分に発揮できます。
もっともこれらの転職先で求められる人員は、多くありません。経済産業省では電験一種のスキルを要する電気工作物は限定的で、求められる選任者数も計200人程度と示しています。このためメガソーラーや工場、大規模商業施設など、電験二種や電験三種の資格で活躍できる職場も有力な転職先に挙げられます。
電験二種、電験三種の資格の詳細は以下の記事で解説しています。
電験一種の試験内容
電験一種の資格を取るためには、一次試験と二次試験の両方に合格しなければなりません。それぞれの試験内容を解説します。
電験一種の一次試験
一次試験は以下の4科目について、正しい選択肢を選ぶマークシート方式で行われます。朝から夕方まで1日かかる試験です。
科目 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 90分 | 90分 | 90分 | 65分 |
出題数 | A問題:4題 B問題:2題から1題を選択 |
A問題:4題 B問題:2題 |
A問題:4題 B問題:2題から1題を選択 |
A問題:4題 B問題:2題 |
選択肢は15個から20個もあるため、選択肢がなくても正解できる能力が必要です。「適当に選択肢をマークしておけばそれなりに得点できる」試験ではありません。
4科目すべてに合格すると、一次試験合格となります。また科目ごとの合格制度もあり、合格した科目は翌年度と翌々年度に限り免除を受けられます。
電験一種の二次試験
二次試験は以下の2科目について、記述式で行われます。試験内容を以下の表にまとめました。
科目 | 電力・管理 | 機械・制御 |
---|---|---|
試験時間 | 120分 | 60分 |
出題数 | 6題(うち4題を選択) | 4題(うち2題を選択) |
計算問題では、正しい計算過程で正解を導き出す能力が求められます。また文字数の制限や簡潔な記述を求める問題も多いです。合格には、正解に至る理由もふまえて理解することが必要です。
電験一種は難易度が高く、合格率が低い?
電験一種は難易度が高く、合格率も低い試験です。過去5年間の合格率を確認していきましょう。
年度 | 一次試験合格率 | 二次試験合格率 |
---|---|---|
令和4年度 | 30.8% | 20.9% |
令和3年度 | 30.9% | 8.0% |
令和2年度 | 50.3% | 14.4% |
令和元年度 | 24.2% | 17.2% |
平成30年度 | 24.1% | 13.7% |
合格率の数字だけを見ると、比較的合格しやすい試験に見えます。しかし以下の理由があるため、電験一種は難易度が高い試験です。
- 受験者のレベルが高い(電験二種合格者が1つ上のステップを目指して受験する)
- 問題も難しい
- 一次試験と二次試験の合格が必須。両方に合格できる方は受験者の5%~7%
実力の高さを評価されている方でも油断せず、試験対策を入念に行いましょう。
電験一種(第一種電気主任技術者試験)の平均年収
電験一種は求められる人数が年間200人程度と少ないため、平均年収を示すだけのデータ数が揃いにくい資格です。そのなかでも求人の内容を見てみると、低いほうは年収400万円程度の募集がある一方で、1,000万円を超える年収を提示する企業もあります。求人を選んで応募することで、高収入へのチャンスも得られます。
一方で電気主任技術者全体の平均月給は339,000円、ボーナスを年2カ月分と仮定した場合の年収は約475万円にとどまります。電験一種の場合、年収500万円以上の募集は少なくありません。実力を高め会社を選ぶことにより、高い年収が期待できる資格です。
電験の資格保有を応募条件に含む求人募集例・転職採用例
「建築転職」で取り扱っている建築系の求人の中から、電験の資格保有を応募条件に含む求人募集の一例をご紹介します。
(※2023年8月時点の求人情報です。募集内容は変わる可能性があります)
スーパーゼネコンの設備設計業務の求人
- 仕事内容:設備設計の業務全般
- 応募条件:一級建築士、建築設備士、電気主任技術者のいずれかの資格、設備設計の実務経験5年以上
- 完全週休2日制(土日休み)
- 年収5,200,000円 〜 8,500,000円
- フレックスタイム制度あり、住宅貸付金制度・財形貯蓄制度など各種制度あり
スーパーゼネコンの空調・衛生設備設計の求人
- 仕事内容:空調・衛生設備の設計
- 応募条件:設計業務経験3年以上、一級建築士・一級電気施工管理技士・一級管工事施工管理技士・建築設備士・技術士・電気主任技術者のいずれかの資格
- 完全週休2日制
- 年収4,200,000円 〜 8,000,000円
- 電気設備機器の選定・設計を含む業務
尚、施工管理技士の資格についてこちらの記事で詳しく解説しています。
建築士の資格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
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