電験二種(第二種電気主任技術者試験)の資格で携われる仕事、試験内容、難易度・合格率を解説
電験二種(第二種電気主任技術者)は、電気に関する高いスキルを持つことを示す資格です。電験一種より活躍の場が限られるように見えますが、実際には電気を扱うほとんどの職場で資格を活かせます。難しい試験に合格する必要がありますが、価値の高い資格といえるでしょう。
この記事では電験二種をお持ちの方がどのような仕事や職場で活躍できるか、また試験内容や難易度・合格率について解説します。
目次
電験二種(第二種電気主任技術者試験)で携われる仕事
電験二種は電圧17万ボルト未満の電気工作物を設置する職場で、電気主任技術者になれる資格です。職場において、工事や保守、運用といった保安の監督業務に携わり、リーダーとして活躍できます。該当する電気工作物は以下のとおり、多種多様です。
- メガソーラー
- バイオマス、風力、水力、地熱発電など、再生可能エネルギーを活用した発電設備
- 5,000キロワット以上の発電設備
- 大規模な工場
- 大規模なデータセンター
- 大規模商業施設
いずれも、産業や日々の暮らしを支える重要な施設です。電験二種は、社会に貢献する資格といえるでしょう。
電力会社への入社を目指す方でない限り、電験二種があれば十分です。資格をお持ちの方はほぼすべての施設で電気のスキルを活かし、活躍することが可能です。
電験二種の試験内容
電験二種は一次試験と二次試験があり、両方の試験に合格することで資格を得られます。それぞれどのような内容の試験なのか、順に確認していきましょう。
電験二種の一次試験
一次試験は、マークシート方式で実施されます。1日で4科目受験する必要があることに注意してください。試験は以下の要領で実施されます。
科目 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 90分 | 90分 | 90分 | 65分 |
出題数 | A問題:4題 B問題:3題(選択問題あり) |
A問題:4題 B問題:3題 |
A問題:4題 B問題:3題(選択問題あり) |
A問題:4題 B問題:3題 |
各設問とも、解答は15個前後の選択肢から選びます。多くのマークシート方式の試験でありがちな「わからない問題は同じ選択肢をマークする」対策は通用しません。
すべての科目で合格すると、一次試験は合格です。また一部の科目のみ合格した場合は科目合格となり、翌年と翌々年の試験で免除が受けられます。3年間で4科目合格すればよいわけです。
電験二種の二次試験
電験二種の二次試験は、記述式です。実施される科目など試験内容を、以下の表で確認してください。
科目 | 電力・管理 | 機械・制御 |
---|---|---|
試験時間 | 120分 | 60分 |
出題数 | 6題から4題を選択 | 4題から2題を選択 |
計算問題は正しい数値を求めるだけでなく、計算過程も示す必要があります。また、文字数に制限がある出題も多いです。学習を進める際には、解答に至る理由も踏まえて理解することが求められます。簡潔に示すスキルも求められることでしょう。
電験二種はどれくらいの難易度?合格率は?
電験二種は難易度の高い試験です。過去5年間の合格率を、以下にまとめました。
年度 | 一次試験合格率 | 二次試験合格率 |
---|---|---|
令和4年度 | 35.2% | 24.0% |
令和3年度 | 25.7% | 17.2% |
令和2年度 | 27.2% | 27.9% |
令和元年度 | 23.6% | 22.8% |
平成30年度 | 24.1% | 14.5% |
一次試験・二次試験それぞれで見ると、合格率はそれほど低くありません。しかし両方とも合格できる方は、受験生全体の4%から9%程度にとどまります。電験一種よりも多少高い程度です。
また、電験二種は、電験三種合格者が次に目指すステップに位置づけられています。高いスキルを持つ方ばかりが集まる試験で1割以下の合格率は、難関資格といえるでしょう。
電験一種、電験三種の資格の詳細は以下の記事で解説しています。
電験二種の資格保有者の転職先の例
電験二種は200万kW以上の発電所など一部の施設を除き、電気を扱うほとんどの施設で役立つ資格です。このため転職先も、広範囲にわたります。一例を以下に挙げました。
- 再生可能エネルギーを用いた発電施設(太陽光、風力、バイオマスなど)
- 工場
- データセンター
- オフィスビル
- 大規模商業施設
これらの施設を管理する設備管理会社も、代表的な転職先に挙げられます。ご自身のスキルと経験を発揮できる職場が多数あることは、電験二種ならではの魅力です。
電験二種の資格保持者の平均年収
求人ボックスでは、電験二種の平均年収を514万円と公表しています。分布を見ると、450万円から600万円の年収を得ている方が多いです。電気主任技術者全体で見ても、高い年収を得られる資格です。
給与所得者全体で見ても高い年収を得られることも、電験二種の特徴に挙げられます。国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は443万円です。電験二種の平均年収は、70万円ほど高くなっています。世間一般の平均年収よりも高い収入を得やすい資格です。
電験の資格保有を応募条件に含む求人募集例・転職採用例
「建築転職」で取り扱っている建築系の求人の中から、電験の資格保有を応募条件に含む求人募集の一例をご紹介します。
(※2023年8月時点の求人情報です。募集内容は変わる可能性があります)
大手建築設計事務所の求人
- 仕事内容:病院、学校、庁舎などの建設に関わる電気設備設計業務
- 応募条件:一級建築士、建築設備士、設備設計一級建築士、技術士、電験三種(第三種電気主任技術者)のいずれかの資格
- 完全週休2日制(土日祝休み)
- 年収5,000,000円 〜 10,000,000円
尚、建築士の仕事内容についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
準大手ゼネコンの求人
- 仕事内容:電気、空調、給排水等の管理・設計・積算
- 応募条件:1級管工事施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、第三種電気主任技術者、建築設備士のいずれかの資格
- 週休2日制(土日休み)
- 年収5,530,000円 〜 8,190,000円
- 独身寮、外勤手当、在宅勤務手当、従業員持株会制度、資格取得者への報奨金制度あり
尚、施工管理技士の資格についてこちらの記事で詳しく解説しています。
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この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
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