1級電気工事施工管理技士の資格解説~仕事内容、転職先の例、受験資格、合格率、難易度~

1級電気工事施工管理技士の資格解説~仕事内容、転職先の例、受験資格、合格率、難易度~

1級電気工事施工管理技士は、電気工事の施工管理に関して優れた技術者であることを証明する資格です。興味をお持ちの方、ぜひ取得したいと思う方も、多いのではないでしょうか?取得後に任される仕事や転職活動にどの程度活かせるかという点も、気になるところです。

この記事では1級電気工事施工管理技士について、仕事内容やメリット、転職先の例を紹介します。また、受験資格や試験内容、合格率や難易度についても触れていきます。1級電気工事施工管理技士になりたい方は、ぜひお読みください。

1級電気工事施工管理技士の資格でできる仕事とは?

1級電気工事施工管理技士の資格でできる仕事には、大きく以下の2つが挙げられます。

  • 工事現場における監理技術者や主任技術者
  • 営業所に常駐する専任技術者

それぞれの仕事内容を、詳しく解説していきましょう。

工事現場における監理技術者や主任技術者

1級電気工事施工管理技士は工事規模の大小や請負金額を問わず、どの電気工事でも現場を管理・監督する業務に就けます。名称は金額などにより、以下のように変わります。

  • 発注者から直接受注し、かつ下請金額が4,500万円以上となる工事は「監理技術者」
  • 上記以外の工事は「主任技術者」

主な仕事内容を、以下に挙げました。下請業者がいる場合は、下請の管理・監督や全体の統括業務も含みます。

  • 施工計画の作成
  • 工程管理
  • 品質管理
  • 原価管理
  • 労務管理
  • 安全管理
  • 法令遵守のチェック
  • 作業員に対する技術指導

法令で、工事現場には監理技術者・主任技術者の配置が義務付けられています。1級電気工事施工管理技士はどの工事現場でも要件を満たせる、価値の高い資格です。

営業所に常駐する専任技術者

営業所には、1名以上の専任技術者を常駐させなければなりません。1級電気工事施工管理技士は受注金額を問わず、専任技術者になれる資格です。主な仕事内容を、以下に挙げました。

  • 工事方法の検討
  • 発注者への説明や技術的なやり取り
  • 見積の作成
  • 契約書の締結

上記のような仕事を請け負える技術的な専門家として、手腕を発揮できるでしょう。

1級電気工事施工管理技士の資格を取る3個のメリット

1級電気工事施工管理技士の資格を取ることで、3つのメリットが得られます。どのような形で役立つのか、確認していきましょう。

ゼネコンや大規模な会社で役立つ

1級電気工事施工管理技士は2級と異なり、監理技術者になれる資格です。ゼネコンや大規模な会社などのように、顧客から直接受注し多くの下請先を持つ企業で役立つでしょう。

これらの企業は人気があり、応募者も多くなりがちです。そのなかで1級の資格があれば、有利に働くことでしょう。

記憶に残る仕事に携わるチャンスを得やすい

監理技術者を必要とする会社は、手掛ける建物も大規模となります。地域を代表する建物の建設に携わる機会も多いでしょう。

1級電気工事施工管理技士は監理技術者になれる資格ですから、このような現場で指揮を執る機会を得やすくなるわけです。記憶に残る仕事に携わるチャンスを得やすいことも、見逃せないメリットです。

高いスキルを持つ技術者の証明となる

1級電気工事施工管理技士は、少なくとも3年以上の実務経験がないと取得できません。このため、合格者は豊富な実務経験と高いスキルを示せます。ご自身の価値を証明できることも、メリットといえるでしょう。

特に電気工事業は指定建設業ですから、実務経験だけでは監理技術者になれません。この点も、資格の価値を高める理由に挙げられます。

1級電気工事施工管理技士の有資格者の転職先の例

1級電気工事施工管理技士は、さまざまな企業への転職が可能です。一例を以下に挙げました。

  • 建設会社
  • 電気工事会社
  • 再生可能エネルギーに関する企業
  • ビルメンテナンス会社

多種多様な転職先からあなたに合った企業を選べることに、魅力を感じる方も多いでしょう。

2級電気工事施工管理技士の資格については、以下の記事で詳しく解説しています。

1級電気工事施工管理技士の受験資格

1級電気工事施工管理技士の受験資格は、多岐にわたります。主な受験資格を、以下に挙げました。

  • 第一種電気工事士
  • 15年以上の実務経験
  • 大学卒業または高度専門士で、4年6カ月(指定学科卒業の方は3年)以上の実務経験
  • 短大や高専卒業または専門士で、卒業後7年6カ月(指定学科卒業の方は5年)以上の実務経験
  • 高校や中等教育学校、専門学校の専門課程を卒業で、卒業後11年6カ月(指定学科卒業の方は10年)以上の実務経験
  • 電気主任技術者で6年以上の実務経験
  • 2級電気工事施工管理技術検定の第二次検定または実地試験合格者で、合格後5年以上の実務経験

上記に該当する方は第一次・第二次検定への申込を行え、技士の取得にチャレンジできます。第一種電気工事士の方を除き、1年以上の指導監督的実務経験が必要です。

なかには第二次検定のみ受験すれば資格を得られる方、第一次検定しか受験できない方がいます。それぞれの要件を確認していきましょう。

第二次検定のみ受験すれば技士の資格を得られる方

以下のどちらかに該当する方は、第二次検定のみ受験すれば技士の資格を得られます。

  • 1級電気工事施工管理技術検定の第一次検定に合格した方(技士補など)
  • 技術士で、技術部門が電気電子、建設、総合技術監理のいずれか

2番の方は、「1級電気工事施工管理技士の受験資格」で示した実務経験が必要です。また総合技術監理部門の技術士は、選択科目が電気電子部門または建設部門でなければ受験資格がありません。

第一次検定のみ出願できる方

以下のどちらにも該当する方は、第一次検定のみ出願できます。

  • 2級電気工事施工管理技術検定の第二次検定、または実地試験の合格者
  • 実務経験証明書を記入しない方

一例として「2級の技士であるが、1級になるためには実務経験の年数が足りない」ケースが考えられます。

2024年に受験資格が緩和される予定

ここまでは従来の受験資格について解説してきましたが、2024年に施工管理技士試験の受験資格の緩和が実施される予定です。学歴に関する条件がなくなり、19歳以上であれば誰でも第1次検定を受けられるようになります。

第2次検定の受験資格には、「1次検定合格後の特定実務経験を含む実務経験3年」などが指定されています。令和10年度までは改正前の受験資格でも第2次検定を受験できるため、第1次検定を受験済みの方は安心して次のステップに進みましょう。

受験資格緩和の背景には、資格を有する技能者の人員不足などが挙げられます。これからも施工管理技士資格を有する優れた技能者が求められているということなので、取得できれば将来的にも安定した需要を期待できます。

1級電気工事施工管理技士の試験内容

試験内容は、第一次検定と第二次検定で異なります。それぞれの試験内容を確認していきましょう。

第一次検定はマークシート方式

第一次検定は以下の3科目について、マークシート方式で行われます。

  • 電気工学等
  • 施工管理法
  • 法規

試験時間は午前が2時間30分、午後が2時間です。選択肢は4つから5つ設けられ、そのなかから正解を1つ選ぶ方式です。

第二次検定はマークシート方式と記述式の併用

第二次検定は施工管理法のみが対象で、マークシート方式と記述式が併用されます。記述式の設問では、正確な知識が求められます。加えてご自身の実務経験に基づいた設問も用意されているため、ふだんから問題意識をもって仕事に取り組む姿勢も求められるでしょう。

1級電気工事施工管理技士の合格率は?難易度は高い?

1級電気工事施工管理技士の合格率は、どのくらいなのでしょうか?令和元年度以降の合格率を、以下にまとめました。なお令和2年度までの第一次検定は「学科試験」、第二次検定は「実地試験」という名称で実施されていました。

年度 第一次検定 第二次検定
令和5 40.6%
令和4 38.3% 59.0%
令和3 53.3% 58.8%
令和2 38.1% 72.7%
令和元年度 40.7% 66.3%

第一次検定の合格率は40%前後です。一方で第二次検定の合格率は、記述式の設問があるにも関わらず60~70%もあります。しかし、どちらも簡単な試験とはいえません。

なぜならこの試験は、施工管理の実務経験者しか受験できないためです。豊富な実務経験を持つ方でも、半数以上の方が不合格になることに注目してください。試験を侮らず、対策をしっかり行うことが合格への近道です。

おわりに

1級電気工事施工管理技士は、電気工事ならばどの現場でも責任者として活躍できる資格です。責任は重いですが、評価も高いでしょう。それだけに資格を取るハードルは高く、実務経験がなければ受験すらできません。

一方で合格率は、低いとはいえません。油断は禁物ですが、しっかり対策を取れば合格できる試験といえるでしょう。日々の仕事も試験対策の一部と考え、仕事も試験対策も全力を尽くすことがキャリアアップを実現する近道です。ぜひ合格を勝ち取り、ワンランク上の仕事を目指しましょう。

電気工事以外の施工管理の仕事内容や資格の詳細、年収や求人例などは下記の記事でも詳しく紹介しています。

この記事を監修した人

プロフィール写真

株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武

保有資格:1級施工管理技士・一級建築士

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