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ゼネコンは、建築士の資格を持つ多くの方が関心を持つ企業です。入社したら、どのような仕事を任されるのでしょうか。仕事はハードなのか、ゼネコンならではのメリットがあるかという点も気になるところです。
この記事ではゼネコンへの転職を目指す建築士にフォーカスし、仕事内容や転職するメリット、必要な資格について触れていきます。ゼネコンへの転職を目指す建築士の方は、ぜひお読みください。
目次
ゼネコンにおける建築士の仕事
ゼネコンにおける建築士の仕事は、大きく以下の4つに分かれます。設計業務については、分野ごとに担当者が分かれることが多いです。
尚、建築士の仕事内容についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
意匠設計
意匠設計は、建物のコンセプトやデザインを決める仕事です。外観や内装、間取りなどが、この段階で決まります。色や形など、見た目に大きく影響を与える業務です。アウトプットは意匠図として出されます。
このため、発注者との打ち合わせが多くなります。設計業務の旗振り役を務める場合も多いでしょう。想像力を働かせる必要がある一方で、コミュニケーションスキルとリーダーシップも求められる仕事です。
構造設計
構造設計は、建物の安全を担保する仕事です。意匠設計で考えられた建物の設計について、以下の観点から安全性を検討します。
- 地震に耐えられる建物か?
- 台風などの風水害に耐えられる建物か?
- 雪の重みで倒壊しないか?
- 防火という観点での問題はないか?
実務では構造計算を行ったうえで、以下の事項を検討・実施します。
- 建物の骨組みとなる柱や梁、壁を決める
- 窓の位置を決める
- 材料や施工方法を決める
- 強度が保てないデザインの場合は、意匠設計にデザインの改善案を示す
アウトプットは構造図です。構造設計は目立たない役割である一方、人命や財産を守る重要な職務です。
設備設計
設備設計は、人が快適に過ごすために必要となる以下の項目を検討する仕事です。アウトプットは設備図となります。
- 電気の配線、コンセントの設置
- 照明の設置
- 空調や給排水の配管
- インターネット設備の設置や配線
- 電気設備や機械設備の設置場所
事業用・住宅用を問わず、建物には電気の配線が多く張り巡らされています。どのようにコンセントを設置すれば便利になるかという点も踏まえて、配線を考えなければなりません。近年では光ファイバーなど、インターネット回線の設置箇所を考慮しなければならないケースも多いでしょう。
また大規模施設では、空調の配管も建物内に張り巡らされています。配管ルートはもちろん、どこに吸気口や排気口を設ければ影響が少ないか考えなければなりません。
施工監理や現場での打ち合わせ
建築士には、設計した建物が書面通りに建築されているかチェックする「監理業務」もあります。現場に出向き、細部まで確認しなければなりません。この業務は、意匠設計の建築士が担当するケースが多くなっています。
定期的に設計者と施工者で打ち合わせが行われる場合もあります。この場合は進捗状況の確認も兼ねる意味で、現場に出向かなければなりません。
ゼネコンとハウスメーカーで建築士の仕事に違いはある?
ゼネコンとハウスメーカーでは、建築士が担当する建物に違いがあります。
ハウスメーカーでは、戸建住宅など居住を目的とする建物を扱います。設計できる建物の種類は限られますが、多くの建物を設計できることが特徴です。地元密着の仕事となる場合も多いでしょう。部品がある程度規格化されている企業では、設計業務の負担が軽くなります。
一方、ゼネコンは多種多様な建物を設計します。なかでも高層マンションや大規模ショッピングセンター、工場などはゼネコンならではの仕事ですから、担当する機会も多いでしょう。部品がオーダーメイドとなる場合もあり、ハウスメーカーの建築士よりも考慮すべき事項は多くなります。構造設計や設備設計など、分野ごとに設計担当者が分かれることもゼネコンの特徴に挙げられます。
ゼネコンに転職するならどの建築士資格があるといい?
ゼネコンに転職する場合は、一級建築士があるとよいでしょう。なぜならゼネコンでは、さまざまな建物を建てるからです。一級建築士の資格があれば、多種多様な建物の設計ができます。一方で二級建築士や木造建築士の資格では、以下の建物を設計できません。
- 高さ13メートルまたは軒高9メートルを超える建物
- 延べ面積500平方メートルを超える、学校や病院などの建物
- 延べ面積300平方メートルを超える、鉄筋コンクリートの建物
- 木造建築士の場合は、3階建て以上の建物
ゼネコンで働く場合、小規模な建物しか設計できない資格だけでは十分な効果を発揮できません。この点では一級建築士の資格を持っている方は評価が上がることでしょう。
またゼネコンでは、しばしば高層建築物や大規模な建物の建築に携わります。これらの建物では「構造設計一級建築士」や「設備設計一級建築士」が求められるため、資格を持っていると役立ちます。
建築士の資格について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
建築士がゼネコンに転職するメリット
建築士が選べる転職先は、さまざまです。そのなかでゼネコンを選ぶ理由とメリットは、3つ挙げられます。それぞれのメリットを、確認していきましょう。
大きな建物に関わる仕事ができる
大規模建築の案件を受注できる企業は、ゼネコンです。ときには建物にとどまらず、街全体をつくるようなプロジェクトに関わるチャンスもあることでしょう。
記録と人々の記憶に残る仕事ができることに、誇りを感じる方も多いのではないでしょうか。ゼネコンならばこのような案件を担当する機会も多く、やりがいを感じられることはメリットに挙げられます。
新しい技術に触れる機会がある
ゼネコンには、さまざまな部署があります。なかには新しい技術を研究する部署も設けられていることでしょう。情報をいち早く入手し設計に活かせることも、ゼネコンならではのメリットに挙げられます。
平均年収が高い
ゼネコンは他の転職先と比べて平均年収が高く、設計事務所と比べて残業が少ない傾向があります。時間当たりの収入が増えることは、働く方にとって大きなメリットといえるでしょう。年収額については、この後に解説する「ゼネコンの建築士の平均年収はどれくらい?」で紹介します。
ゼネコンの建築士の仕事はハード?
ゼネコンで働く建築士は、ときに仕事がハードとなる場合があります。それは時期により、仕事量に変動があるためです。受注する仕事の量が増えるとスケジュールが立て込むため、残業や休日出勤を余儀なくされるケースもあるかもしれません。
受注した案件によっては、出張や外出が多くなる可能性もあります。ゼネコンが建てる建物は、さまざまな地域にあるためです。仕事とはいえ出張がたび重なると、ハードさを感じることでしょう。
ゼネコンの建築士は、意匠設計・構造設計・設備設計と分かれていることが特徴です。部門ごとの社内打ち合わせや発注者との打ち合わせは多くなるでしょう。打ち合わせに時間を取られることに、ハードさを感じる方もいるかもしれません。
ゼネコンの建築士の平均年収はどれくらい?
ゼネコンで働く建築士は、どのくらいの年収を受け取れるのでしょうか。厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」では、職種や企業規模別の賃金が公表されています。ゼネコンで働く建築士に該当する「企業規模1,000名以上の会社に勤める一級建築士」の平均年収は、900万3,500円です。平均的な労働者の年収と比べて、かなり高いといえるでしょう。
もちろんゼネコンに勤める建築士すべてが、高い年収を受け取れるとは限りません。会社によっては、年収が500万円程度となるかもしれません。またゼネコンでも二級建築士の年収は大きく下がり、300万円台にとどまる可能性もあります。
おわりに
ゼネコンは高い給与や良好な職場環境を得やすいため、建築士に適した職場の一つです。一方で業務が細かく分かれている、打ち合わせや外出が多いなどのデメリットもあることを意識しなければなりません。小規模な建物のプロジェクトに携わりにくいことも、デメリットといえるでしょう。
ゼネコンはすべての建築士におすすめの転職先とはいえませんが、仕事内容をチェックし、もしご自身に合っていると感じた方は応募するとよいでしょう。
この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
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