ハウスメーカーの住宅営業はどんな仕事?必要なスキル、役立つ資格、平均年収をまとめて紹介

ハウスメーカーの住宅営業はどんな仕事?必要なスキル、役立つ資格、平均年収をまとめて紹介

ハウスメーカーの住宅営業に対して、長時間労働やノルマのきつさなど、悪いイメージを持つ方もいらっしゃることでしょう。一方で、成果をあげれば高い給与も期待できます。ご自身の性格やライフスタイルとマッチするかどうかが、とても重要な職種といえるでしょう。

就職先の正しい選択には、仕事内容や求められるスキルを正しく理解することが重要です。この記事ではハウスメーカーの住宅営業がどのような仕事か、また役立つ資格やスキル、平均年収について解説します。住宅営業に向く人や仕事のやりがい、きつさについても確認していきましょう。

ハウスメーカーの住宅営業はこんな仕事をする職種

ハウスメーカーの住宅営業は、「家が欲しい」という顧客に対して商談を行い、成約へ導く職種です。基本的に、飛び込み営業はありません。WebサイトやテレビCMをきっかけにして、貴社にコンタクトを取ってきた顧客が商談の対象です。住宅展示場も興味・関心を持つきっかけとなるため、住宅展示場で営業活動を行う方もいます。

住宅営業の代表的な仕事を、以下に挙げました。

  • 電話やメール、LINEなどを使ったヒアリング
  • 対面での商談
  • 商談のクロージング
  • 他部門との連携

住宅は高い買い物ですから、確認事項が多いです。このため、商談は複数回にわたり行われます。注文住宅の場合は実物がないため、イラストや模型などを作って説明する場合もあるでしょう。このような場合は、建築士や設計士と連携して対応する必要があります。

また、住宅は購入後にさまざまな不具合が見つかる場合があります。問い合わせや苦情への対応も、住宅営業の重要な役割に挙げられます。

建築営業との違い

住宅営業と建築営業では、建物を購入する顧客や目的が異なります。以下の表にまとめました。

住宅営業 建築営業
主な顧客 個人 法人が多い
地主など個人の場合もある
建物の使いみち 自らが住むために使う 土地の収益を上げる事業で使う
オフィスや住宅の賃貸が代表的

住宅営業は、快適な住まいを提供することが目的です。成約には顧客の満足と納得が重要ですから、営業担当者自身が信頼されなければなりません。少々高価でも「この方が勧める住まいなら信頼できる」と思われることが重要です。

一方で建築営業は、建築後に物件でどのくらい収益が得られるかという点が重要視されます。投資に見合ったリターンが得られるかという点が、重視されるでしょう。信頼関係ももちろん重要ですが、数字による論理的な説明も欠かせません。

住宅営業の仕事に役立つ資格

住宅営業の仕事には、以下の資格があると役立ちます。

  • 宅地建物取引士(宅建)
  • ファイナンシャル・プランニング技能士(ファイナンシャルプランナー)
  • 住宅ローンアドバイザー

住宅営業の業務に際しては、専任の宅地建物取引士を5名に1名以上の割合で配置する必要があります。顧客へ重要事項を説明する業務、および重要事項説明書への記名・押印は宅地建物取引士のみが行えます。

住宅営業の主な顧客は、個人です。住宅は人生のなかで、最も大きな買い物といわれています。住宅ローンを組む方も多いでしょう。ライフプランや税金の対策、無理なく返済できるローンの選択をアドバイスできる点で、ファイナンシャル・プランニング技能士や住宅ローンアドバイザーの資格は役立ちます。

また技術職から営業職に移る方は、建築士の資格があると役立ちます。工事の内容などについて専門的な立場からアドバイスを行えるため、顧客に安心感を与えられることが理由です。
尚、建築士の資格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

住宅営業の仕事に求められるスキル

住宅営業の仕事に求められるスキルは、住宅に関する資格や知識にとどまりません。ここからは、仕事を進めるうえで求められる4つのスキルを解説していきましょう。

ヒアリング能力

住宅営業では、営業担当者自身が信頼されることが重要です。信頼をされるには、相手の話をしっかり聞く=ヒアリング能力が必要となります。営業と聞くと話す能力に長けているイメージを持つ方が多いと思いますし、それも大事ですが、まず顧客の要望を聞いて汲み取ることが必要です。「こんなこともリクエストしていいのかな」と遠慮する方も多いので、話しやすい雰囲気を作るのも住宅営業に必要な能力になります。

プロジェクト管理能力

住宅営業は、顧客との打ち合わせ、スケジュール調整、他部門との連携や連絡、外注先への依頼や連絡など、住宅づくりをトータルで担う仕事です。顧客はもちろん、社内や社外との調整も行うので、プロジェクトを管理する能力が求められます。同時に複数の案件を抱えるケースが多いので、それぞれの案件の進行度やスケジュールを常に把握・管理できるスキルが必要です。

人の役に立ちたいという姿勢

良い住宅は、住む人を幸せにします。住宅営業は、顧客の希望をかなえ幸せをつくる手助けを行える職種です。「顧客の役に立ちたい」という姿勢があれば、信頼されやすくなるでしょう。住宅営業の仕事に求められるスキルの一つに挙げられます。

精神的・肉体的なタフさ

住宅営業は長時間労働となりやすく、ノルマの達成やクレームなどつらいことも多々あります。ハードな仕事にも耐えられる体力はもちろん、厳しいことを言われてもへこたれない精神的なタフさも求められるスキルです。

住宅営業の仕事でやりがいを感じるところ

住宅営業の仕事でやりがいを感じるところには、以下の項目が挙げられます。

  • 商談を成約に導ける
  • 担当する顧客の家が建ち、無事に引き渡せる
  • 顧客が他の顧客を紹介してくれる
  • 目標を達成し、会社や上司から良い評価を受ける
  • 収入がアップする

営業した成果を「家」という形にできることに、大きな喜びを感じる方は多いでしょう。あなたの営業活動が顧客に評価されれば別の顧客を紹介してもらえるため、営業活動を進めやすくなるメリットも期待できます。

社内での評価や収入のアップも、やりがいに挙げられます。成約すればインセンティブなどの収入増加を得られることは、住宅営業ならではの特徴といえるでしょう。

住宅営業の仕事のきついと感じるところ

住宅営業はやりがいばかりでなく、以下のようにきついと感じることもあります。

  • ノルマを達成しない人への対応が厳しい
  • 自身の不手際でなくても、顧客からのクレームを受けなければならない
  • 土日出勤や残業が多い
  • 上司や先輩からの付き合いを断れない

ノルマを達成できないと、給与は低いままです。上司など会社からの風当たりも強くなるでしょう。成績を上げられなければ、残業してでも売上アップに努めなければならないなど、ノルマがきついと感じる方が多いでしょう。

また、住宅営業は顧客の都合にあわせて、土日に働くケースが多くなります。勤務時間外に打ち合わせをするケースも出てくるでしょう。もし不具合があれば、他部門の不手際であっても窓口としてクレーム対応をしなければなりません。

住宅営業は、上司や先輩との付き合いも重要です。ドライな人間関係を求める方は、この点にもきつさを感じることでしょう。

住宅営業をする男性

住宅営業の仕事に向いている人

住宅営業の仕事には、以下の項目に当てはまる方が向いています。

  • 上昇志向があり、競争が意欲のアップにつながる
  • ノルマを前向きにとらえられる
  • 濃密な人間関係を好む
  • 人の役に立つ仕事をしたい
  • 成績のアップを収入のアップにつなげたい
  • 土日休みにこだわりがなく、残業もいとわない
  • 厳しい言葉にも耐えられる

当てはまる項目が多いほど、住宅営業に向いているといえるでしょう。逆にほとんど当てはまる項目がない方は、資格や知識があっても他の職種を探すほうが無難です。

住宅営業の平均年収はどれくらい?

「求人ボックス 給料ナビ」では、住宅営業で働く正社員の年収を以下のように公表しています。

項目 年収額
平均年収 403万円
ボリュームゾーン 343万円~400万円
全体の給与幅 286万円~742万円

出典:カカクコム「住宅営業の仕事の年収・時給・給料」

国税庁が「令和3年分 民間給与実態統計調査」で公表した全業種の平均年収は443万円です。平均的な住宅営業の方が受け取る給与は、社会人の平均年収よりも低くなっています。

もっとも、実力しだいで年収を上げることは可能です。住宅営業の収入分布はなだらかに広がっています。年収500万円を超えている方は少なくありません。高い給与を出す会社で実力を発揮した方は、1000万円以上の年収を得られる可能性もあります。

おわりに

ハウスメーカーの住宅営業には、人による向き不向きがあります。会話が好きで上昇意欲が強くタフな方には、適職といえるでしょう。一方で「仕事とプライベートを分けたい」「他人の人生に干渉したくない」「ノルマが嫌」という方には、あまりおすすめできません。

住宅営業は、顧客の人生を幸せにする仕事でもあります。大変ですが人の役に立ち、社会になくてはならない仕事といえるでしょう。この記事を読んで適性があると感じた方は、住宅営業を目指し活躍してみてはいかがでしょうか。

この記事を監修した人

プロフィール写真

株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武

保有資格:1級施工管理技士・一級建築士

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