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建築営業は日本経済において、重要な仕事の一つです。一方で、厳しい面も少なくありません。入社後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、職種や仕事の内容を知ることは重要です。
この記事では建築営業の仕事内容について触れたのち、仕事に役立つ資格や必要となるスキル、平均年収を解説します。仕事のやりがいやきついところも確認していきましょう。建築営業に興味をお持ちの方は、ぜひお読みください。
目次
建築営業はどういう仕事をする職種?
官公庁や民間企業、地主など土地を所有する方は、建物を建てて土地を有効活用したいと考えているケースが少なくありません。建築営業はこのような方に対して営業活動などを行い、工事を受注する職種です。竣工後のアフターケアも仕事の一つです。大規模な施設になると、数百億円規模のプロジェクトになる場合もあります。
同じ建築営業でも、民間と官公庁では仕事の内容が異なります。それぞれの仕事内容について、また住宅営業との違いについて解説していきましょう。
民間企業や地主向けの建築営業が行う仕事内容
民間企業や地主向けに営業活動を行う仕事は、土地の有効活用を提案し工事を受注することが目的です。住宅ならばアパートやマンションなどの集合住宅、商業地ならオフィスビルや商業施設、ホテルなどが代表的です。
顧客の重要な関心事は、投資した金額の回収と収益のアップです。物件そのものと地域の魅力度を勘案し、適切な賃料で収益を上げられるかという点は重要なポイントです。確かなデータをもとに、顧客にとってベストな提案を行うことが求められます。
官公庁向け(公共事業)の建築営業が行う仕事内容
官公庁向けの建築営業は、入札が主体です。民間企業に対する営業活動と異なり、担当者との打ち合わせで成約できるわけではありません。代わりに、以下の項目が主な仕事となります。
- 入札の項目をチェックし、自社で受注可能か、また入札する金額を決める
- 発注元の組織が定めた要件や書式に従い、書類を作成する
このため、入札情報のリサーチや事務作業が主な業務となるでしょう。
住宅営業との違いは?
建築営業と住宅営業は、以下の2つの点に違いがあります。
- 対象となる顧客
- 建物を活用する目的
住宅営業は、購入した建物に自ら住む方をターゲットとしています。資産価値の向上は多少意識されるものの、第一に重要視されるポイントは住みやすさと会社への信頼です。安さよりも質の高さを重視する顧客も少なくありません。
一方で建築営業は官公庁や法人、地主などがターゲットです。官公庁なら要求事項を満たす建物を低価格で建てられるか、民間ならば収益性が重視されるでしょう。住宅営業と異なり、規模が大きくなりがちです。一方で、居住性はそれほど重視されません。
建築営業の仕事をするのに資格は必要?
建築営業の仕事において、資格は必須ではありません。ただし以下の理由により、資格があれば採用の選考や入社後の待遇において有利になります。
- 事業所には宅地建物取引士の有資格者が必要
- 顧客からの信頼を得られる
- 建築や建物に関する一定の知識があるとみなされる
少しでも有利な条件で仕事をするためにも、仕事に役立つ資格は取得しておくとよいでしょう。
建築営業の仕事に役立つ資格
建築営業の仕事に役立つ資格を、以下に挙げました。
- 宅地建物取引士(宅建)
- ファイナンシャル・プランニング技能士(ファイナンシャルプランナー)
建物には、法令によるさまざまな制約があります。宅地建物取引士を持つ方は、建物に関する専門的な知識を持つ営業として信頼されるでしょう。特に重要事項の説明や重要事項説明書への記名・押印は、宅地建物取引士しかできません。
顧客のなかには、不動産を資産運用の手段と考えている方も多いです。資格は建物をどう活用するか、適切なアドバイスをするうえでも役立ちます。
また、不動産鑑定士は難易度が高い資格ですが、土地や建物の資産価値を鑑定できることが強みです。技術者の経験がある方は、建築士の資格も役立ちます。
尚、建築士の資格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
建築営業の仕事に必要となるスキルは?
建築営業の仕事に求められるスキルは、多岐にわたります。2つの分野に分けて、必要なスキルを確認していきましょう。
業務知識や業務を遂行するスキル
業務知識や業務を遂行するスキルには、以下の項目が挙げられます。
- 建築や不動産に関する知識
- 資産運用に関する知識
- 法令の内容や改正情報のチェック
- 市場動向のチェック
- 迅速かつ正確な事務処理能力
「建物を建てて収益を得たい」という顧客の要望をかなえるためには、建築や不動産に加えて資産運用の知識も求められます。法令による規制もあるため、最新の情報を把握することも欠かせません。
営業活動を有利に進めるためには、市場動向を踏まえた提案が求められます。書類が重要なことも建築営業の特徴ですから、事務処理能力も重要です。特に官公庁向けの場合は、落札しなければ仕事になりません。入札を成功させるためには市場をチェックし、迅速かつ正確、ていねいな事務処理能力が求められます。
意欲やコミュニケーションスキルも重要
建築営業は、豊富な知識があれば務まるとは限りません。以下に挙げるスキルも求められます。
- 厳しいノルマでも意欲的に取り組む姿勢
- へこたれない精神的なタフさ
- 社内外の関係者とスムーズに調整できるコミュニケーションスキル
建築営業は、ノルマが厳しい職種です。加えて高額な商材を扱うため、クレームを受けやすいことも特徴に挙げられます。会社や上司、顧客から厳しい対応をされてもへこたれない、精神的なタフさは欠かせません。
また建築営業は、建築部門など他部門との協力が欠かせません。協力会社など、他社との調整が必要となる場面もあるでしょう。スムーズに調整できるコミュニケーションスキルも重要です。
建築営業の仕事のやりがいや魅力は?
厳しいといわれている建築営業でも、活躍している方は多くいます。このような方は建築営業という仕事に、やりがいや魅力を感じていることでしょう。代表的な項目を、以下に挙げました。
- 大きな金額を動かす仕事ができ、成果を見える形で示せる
- 成約数や金額が増えれば収入も大きく増やせる
- 良い仕事をすれば顧客から信頼を得られ、紹介による顧客が増える
- 未経験でも努力しだいで優秀な営業成績を残せるチャンスがある
- 社内外の人脈や、幅広い知見を得られる
上記に示した項目は、建築営業が実力主義であることを示しています。学歴や過去の職歴に関わらず、成約数や金額が多い方は評価されるわけです。努力が結果に結びつくということは、建築営業で働くやりがいと魅力につながります。
良い仕事をして成約数を伸ばした方には、さまざまなメリットも加わります。営業活動を通して、さまざまな人脈が得られることでしょう。また顧客から感謝されるとともに「顧客が別の顧客を連れてくる」といった結果も得られ、営業活動を行いやすくなることも魅力に挙げられます。
建築営業の仕事のきついところは?
建築営業の仕事をしていると、「きつい」「しんどい」と思う場面もあります。代表的な例を、以下に挙げました。
- ノルマを達成できなかったときの対応が厳しい
- 簡単に成約できる商材ではなく、成約出来ないと給与が低いまま
- 顧客から厳しいクレームを受ける場合がある
- 土日に休めない場合も多い
- 残業が多い
- 努力が形になるまで長い期間がかかる
建築営業は金額が大きいだけに、成約には長い期間が必要です。また会社にとっては、成約数が伸びないと事業に大きな悪影響を生じかねません。このため「売れにくい商材なのに、ノルマが厳しい」といった、働く側にとって理不尽な事態が起こりがちです。努力が形になるまで期間を要することも、「きつい」「しんどい」と感じる理由の一つです。
加えて建築営業は顧客の都合により、土日に打ち合わせがあるケースも少なくありません。クレーム対応も営業が窓口ですから、顧客の矢面に立たなければなりません。スケジュールがタイトの場合は、残業となる場合もあるでしょう。この点も、きつさを感じる項目に挙げられます。
建築営業の仕事はどんな人に向いている?
建築営業の仕事は、以下の方に向いています。
- 体力に自信があり、精神的なストレスにも強い
- 競争心が強く、高いノルマでもあきらめず努力する
- 高い成果を上げ、会社から認められたい
- 常に学習し、スキルアップする意欲がある
- 優れたコミュニケーション能力を持つ
当てはまる項目が多いほど、建築営業に向いているといえるでしょう。厳しい競争を勝ち抜くことができ、優秀な成績を残すことが可能です。
建築営業の平均年収はどれくらい?
建築営業の平均年収は、複数の会社から公表されています。以下の表にまとめました。
サイト名(運営会社) | 平均年収額 | 備考 |
---|---|---|
求人ボックス(カカクコム) | 454万円 | 「建築営業 不動産営業」の年収額 |
マイナビAGENT(マイナビ) | 450万円 | 20代は422万円、30代は509万円 |
「求人ボックス」の分布を見ると、400万円前後から500万円台前半の方が多くなっています。平均的な会社員や住宅営業よりも、やや高い給与をもらえる方が多いでしょう。
全体的な分布を見ると、300万円から800万円まで広範囲に広がっています。経験を積み実力を高めることで、年収を大きくアップできる職種といえるでしょう。
建築営業の転職先の例
建築営業職はゼネコンから地域密着の建設会社まで、幅広く募集されています。転職先の選択肢が広いことに、魅力を感じる方も多いでしょう。
もっとも、仕事内容は会社によって大きく変わります。例えば公共事業と民間向けの建築営業では、仕事内容が大きく異なります。大規模な会社では、転勤の可能性もあるでしょう。一方で地域密着の会社では、得意分野を活かせないかもしれません。このようなことも考慮して、転職先を選ぶとよいでしょう。
建築営業の平均年収
求人ボックスでは、総合建設業における建築営業の平均月給を33万円と公表しています。年間のボーナスが2カ月分と仮定すると、年収は462万円です。また転職サービスdoda「平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】」は、「営業-建設/不動産」の平均年収が416万円であると公表しました。
一方で国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、民間で働く方の平均年収は443万円です。建築営業はほぼ平均的な年収を得られる職種といえるでしょう。
なお求人ボックスでは、不動産鑑定士を持つ方の平均年収が569万円であることも公表しています。資格があれば、より高い年収が期待できるでしょう。
建築営業の求人募集例
「建築転職」で取り扱っている建築系の求人の中から、建築営業の求人募集の一例をご紹介します。
(※2023年8月時点の求人情報です。募集内容は変わる可能性があります)
土地活用の提案を行う営業職の募集
- 仕事内容:土地活用の提案営業
- 応募条件:経験者(分譲のみの経験はNG)、第一種運転免許普通自動車(MT車が運転できる方)
- 年間休日110日、年末年始休暇(7日程度)
- 年収3,920,000円 〜 7,000,000円
- 共同アパート、店舗、老人ホーム、高齢者住宅、障がい者施設などの設計・施工の実績多数
建築業界専門の転職エージェント「建築転職」では、上記以外の建築営業の求人のほか、非公開求人情報も紹介しております。下記から無料登録できます。
おわりに
建築営業は体力と専門知識、根気、目標を達成する強い意欲が必要な職種です。相応の覚悟が必要ですが、高い営業成績をあげれば収入も大きくアップします。実力主義の職場で活躍したい方に向く職種といえるでしょう。
建築営業は入社後も、日々のスキルアップが欠かせません。資格の取得は、代表的なものの一つです。誰にでも向く職種ではありませんが、「我こそは」という方は建築営業職へのチャレンジをご検討ください。
この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
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