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施工管理職は、建築や建設に関わる多くの会社で求められています。この職種を募集する主な企業に、ハウスメーカーがあります。ハウスメーカーでの施工管理職は、ゼネコンなど他の会社と異なる面があることに注意しなければなりません。事前に仕事内容を把握し入社することで、会社で評価されやすくなります。
この記事ではハウスメーカーの施工管理職にフォーカスを当て、仕事内容や必要なスキルを解説します。施工管理職を目指す方は、ぜひ一度お読みください。
目次
ハウスメーカーの施工管理の仕事内容
ハウスメーカーの施工管理の仕事は、現場の監督です。そのため、多種多様な仕事があります。ここでは主な6つの仕事を取り上げ、どのような業務があるか確認していきましょう。
工事の計画を作成
施工管理の最初の仕事は、工事の計画を作る業務です。設計図をもとにCADを使って施工図を作成したのち、さまざまな計画を作ります。代表的な項目を、以下に挙げました。
- 現場で用いる工法や、工事の手順
- 必要な資材の種類と数
- 重機やダンプが必要か否か、また必要な場合は台数
- 作業スケジュール
- 工程ごとに必要な作業員の数
アウトプットとなる書類には、工程表や施工要領書、品質管理計画表が挙げられます。
工事の成功は、計画によって決まる部分も少なくありません。工事を円滑に実施し信頼を得るためにも、実現できる計画を立てることが重要です。
工事の管理
工事の管理は、施工管理の仕事におけるもっとも重要な項目です。以下に挙げる、さまざまな管理を任されます。
項目 | 概要 |
---|---|
工程管理 | いわゆる進捗管理。工事が予定通り進んでいるかチェックする |
安全管理 | 事故が起きないよう、工事現場や近隣、通行人への安全を確保する |
品質管理 | 仕様書に適合した材料、および工法で工事を実施する |
原価管理 | 工事が予算の範囲内におさまっているかチェックする |
とりわけスケジュールは、施工管理担当者の頭を悩ませる項目ではないでしょうか。建築は屋外で行われるため、雨が続くと工事が遅れがちです。場合によっては「久しぶりの晴れ間、しかも休日!しかし工事が遅れているため休日出勤」といったケースも、あるかもしれません。天気予報に一喜一憂する方も、多いことでしょう。
営業担当者や職人、施主との打ち合わせ
さまざまな方との打ち合わせも、施工管理の重要な仕事に挙げられます。営業担当者とは金額的な面や施主とのやり取りについて、職人とは具体的な仕事の進め方について、しっかり打ち合わせを行う必要があります。
施主と直接打ち合わせを行う場合があることも、ハウスメーカーで働く施工管理職の特徴です。相手に応じて、適切な対応を取れるようにしなければなりません。このことから、営業的な要素がある仕事ともいわれています。
行政へ提出する書類の作成
住宅を建てる場合は、行政へ提出する書類も作成しなければなりません。主な書類を、以下に挙げました。
必要な書類 | 備考 |
---|---|
建築確認申請書 | 着工前と完成時の2回チェックが行われる |
建築工事届 | 床面積が10平方メートルを超える建物を建てる場合に必要 |
建築物省エネ法の適合性判定または届出 | 床面積が300平方メートル以上の場合に該当する。住宅用途でない部分の床面積が300平方メートル以上の場合は適合性判定が、300平方メートル未満の場合は届出が必要 |
適切なタイミングで、適切な書類を作成し提出するのも大事な仕事のひとつです。もし提出を怠ると罰則が課され、会社の信頼を損なう事態となり得ることを心得てください。
工事現場の写真を撮影
建築工事においては、要所でしっかり記録を残しておかなければなりません。写真の撮影も、施工管理の重要な職務です。スチールボードやホワイトボード、黒板に必要事項を書き、完成した箇所や建物全体とあわせて撮影する作業はよく行われます。
撮影した写真は整理し、報告書などの書面に掲載します。
儀式への出席
建築工事では現場ごとに、地鎮祭や棟上式が行われます。ハウスメーカーの施工管理の担当者は工事関係者として、儀式に出席します。これらの業務も、施工管理の重要な仕事です。
ハウスメーカーとゼネコンの施工管理の仕事の違い
ハウスメーカーとゼネコンの施工管理には、仕事の面でいくつかの違いがあります。ここでは主な3つの相違点を取り上げますので、よく確認しておきましょう。
建物の種類や大きさ
ゼネコンでは以下のとおり、さまざまな種類の建物を施工します。
- 高層ビル
- 工場
- 公共施設
- 橋やトンネル
- 大規模ショッピングセンター
- タワーマンション
戸建ての施工を担当する可能性もありますが、割合としては多いとはいえません。
一方でハウスメーカーの場合は個人向けの戸建てが主体ですから、大きな建物とはいえません。ハウスメーカーの施工管理職は、ひたすら住宅ばかりを建てる日々が続くことになるでしょう。
担当する現場の数
ゼネコンの施工管理では、その現場だけを担当するケースが多いです。工事自体は大規模でチェックすべき項目も多岐にわたりますが、1つの現場で腰を据えて対応することが可能です。
一方でハウスメーカーの施工管理では、複数の現場を掛け持ちするケースもよくあります。お勤めの会社や現場の状況によっては、20件もの現場を担当する場合があるかもしれません。それぞれの現場の状況を的確に把握し、適切な判断を行う必要があります。
長期出張の有無
ゼネコンの場合は、遠隔地にあるプロジェクトを受注する場合があります。施工管理の業務命令を受ければ、国内外を問わず長期間出張しなければなりません。家族と離れ離れになることを好まない方も、多いのではないでしょうか。
一方で住宅は大都市圏を中心に、全国各地で建てられています。このためハウスメーカーの場合、長期出張の可能性は少ないでしょう。但し全国に拠点を持つ企業の場合、転勤により他の地方へ移らなければならない可能性があることには注意が必要です。
なお施工管理に関するゼネコンとハウスメーカーとの相違点は、以下の記事もご参照ください。
施工管理の仕事内容や求められるスキル等、下記の記事でより詳しく解説しています。
ハウスメーカーの施工管理の仕事に必要なスキル(就職・転職)
ハウスメーカーの施工管理では、仕事をするうえで必要なスキルがいくつかあります。ここではぜひ身につけておきたい4つのスキルを取り上げますので、確実に習得していきましょう。
建築工事に関する知識
施工管理は、職人とのやり取りがよく発生する職種です。このため、建築工事に関する知識は必須です。現場で働く職人の話がわからなければ、現場監督どころの話ではありません。また、施工図を作ることもできなければ、適切な施工計画を立てることもできません。
専門知識を身につけることは、施工管理を担当するうえでの重要な項目です。スムーズなやり取りができるレベルまで、技術的な知識を高めましょう。
パソコンやCADを活用するスキル
施工管理の仕事には、建築士が作成した図面を施工図に書き直す業務も含まれています。この業務には、CADのスキルが求められます。
加えて近年ではOA化が進み、多くの書類はパソコンを使って作成するようになっています。効率的に業務を進めるためにも、オフィスソフトやCADを使えるスキルを備えておきましょう。
円滑にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くスキル
仕事を円滑に進めるためには、コミュニケーションも重要です。相手の話をよく聞き適切に対応することは、仕事を円滑に進める重要なポイントに挙げられます。
ハウスメーカーでの施工管理は、いつも現場にいるわけではありません。仕事のできは、職人の仕事ぶりにかかっているともいえるでしょう。施主の期待にこたえる仕事をするためには、信頼関係を築くスキルも欠かせません。
スケジュール管理能力
ハウスメーカーでの施工管理では、多くの現場を兼任するケースもあります。できる現場監督であるためには、以下の項目を考慮したスケジュール管理が必須です。
- 現場で実施される儀式の日取り
- 打ち合わせの日程
- 提出すべき書類の締切と、提出するための時間
- 工事時期にあわせた施工図の作成と、工事計画の作成
- 現場への定期的な訪問
無計画な行動はスケジュールの破綻を招き、ご自身の評価を大きく落としかねません。計画的な行動は、あなたの評価や信頼をアップします。高品質な建物づくりにもつながることでしょう。
ハウスメーカーの施工管理に資格は必要?
はじめて施工管理の仕事に就く場合、資格は特に必要ありません。施工管理には「建築施工管理技士」という資格がありますが、受験には施工管理に関する実務経験を要するためです。実務経験が求められる期間は人により異なりますが、最低1年は必要です。まずは入社し、経験を積むことが近道です。
建築施工管理技士の資格は取ったほうがいい?
施工管理の方におすすめの資格として、建築施工管理技士が挙げられます。実務経験者しか受験できないため、合格すればスキルと経験を兼ね備えた技術者として認められることでしょう。
ハウスメーカーでは、2級の資格があれば対応できます。これは戸建て住宅の単価がビルやマンションよりも低いためです。1級の資格があればなおよいですが、無理をして取得する必要はありません。
建築施工管理技士の資格については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
ハウスメーカーの施工管理の年収は?
ハウスメーカーで施工管理に携わる方の平均年収は、650万円前後となっています。一方で企業により、年収額が大きく異なることも見逃せません。以下の2極化が進んでいることに注意してください。
- 平均年収が800万円以上の企業
- 平均年収が400万円~650万円程度の企業
いくら実力ある方でも企業全体の賃金テーブルが低いと、なかなか高い収入は得られません。施工管理のスキルや経験のある方は、できるだけ高い年収を得られる企業を狙うこともよい方法の一つです。募集要項に書かれているモデル年収などを参考に、応募する企業を決めるとよいでしょう。
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おわりに
ハウスメーカーの施工管理は主に住宅を扱うため、その点では楽かもしれません。一方で管理監督すべき現場の数はかなり多くなります。作成すべき書類も担当する現場の数に応じて増えるため、スケジュール調整は大変重要です。忙しいなかでも相手に応じた適切な対応が求められる職種といえるでしょう。
施工管理で代表的な「建築施工管理技士」の資格は、経験を積む過程で取得することがおすすめです。すでにお持ちの方は、資格を活かした転職に役立てます。ハウスメーカーの施工管理が自分に合うと思った方は、転職を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
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