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建設がスムーズに進むように工事を管理する施工管理の仕事。建物をつくるやりがいのある役割です。しかし、施工管理を志す方のなかには、都市部における建築密度の高さから将来性を心配する方や、過酷な労働環境のイメージから適応できるか不安を感じる方もいます。
この記事では、建設業を取り巻く環境を紹介しながら、施工管理の仕事の将来性や、労働環境について解説します。建物に携わる仕事に興味のある方は、ぜひご覧になってみてください。
目次
施工管理の仕事に将来性はある?
はじめに、施工管理の仕事の将来性について解説します。
東京オリンピックが終わりコロナ禍を経た現在、建設需要は堅調に推移しています。アフターコロナの働き方改革に対応するためのオフィスの新築やリノベーション、都市部の再開発プロジェクト、企業の設備投資などが堅調維持の理由です。さらに、2025年に大阪で開催される万博や、それに伴うIR整備計画といった国を挙げてのプロジェクトも控えています。
環境保全の観点から建物の長寿命化 が進んでいますが、時代に応じて暮らし方や働き方は変化し、それに適応する建物が求められます。そのため、建設需要は浮き沈みはありながらも低迷することは考えにくいといえます。
現在、施工管理の仕事は人手不足が課題です。特に、若年層や、中堅の即戦力人材、BIM(Building Information Model)をはじめとした3Dモデルの扱いに長けた人材の需要が高いのが特徴です。今のうちに施工管理の仕事に携わることで、将来的にも活躍を期待できるでしょう。
施工管理技士とは?資格の種類や難易度
施工管理の仕事に関する基本的な資格が、国家資格「建築施工管理技士」です。1級と2級があり、級数に応じて担当できる役割が変わります。
「2級建築施工管理技士」は、4,000万円未満(建築一式工事は6,000万円未満)の工事で、“主任技術者”として従事する ことができます。
一方、 「1級建築施工管理技士」は、工事の規模に関わらず、“監理技術者”または“主任技術者”の役割を担うことができる資格です。
1級施工管理技士試験の試験内容は、「建築学等」「施工管理法」「法規」を問うマークシート形式の第一次検定と、「施工経験」「仮設物・安全物の計画」「各種工事」「施工管理」「法規」 などを問う記述式の第二次検定です。
合格率は、一次・二次とも40~50%程度。 実務に携わったうえでしっかりと対策をすれば十分に取得可能な資格です。
施工管理技士の参考となる記事を下記にご紹介します。自分の価値を高め、活躍の場を広げられる資格なので、ぜひ取得を目指してみてください。
施工管理技士の現状は?「きつい」と言われるのは過去の話?
建設業の職場は、「3K(きつい・汚い・危険)」と表現される労働環境から、過酷なイメージを持たれています。「3K」は建設業界の人手不足の原因のひとつとされ、特に、若年層が建設業を敬遠する大きな理由です。
現在、 国土交通省は、中長期的な建設業の担い手を確保し、地域の安全や経済を支えることを目的に、目指すべき労働環境として「新3K(給与・休暇・希望)」を掲げています。具体的な取り組みは、労務費の適正化、工事現場における週休2日の確保、適正な工期の設定、ICT活用によるプロセスの合理化などです。
適正な工期・人員・コスト及び休日が確保できれば、労働環境はよくなっていくでしょう。また、令和6年には36協定の時間外労働の上限が適用されるので、各企業でも着々と働き方改革が進められていくことでしょう。現在は「新3K」を普及させ、魅力ある建設業界をつくるために業界全体が変化している過渡期といえます。
今後の建設業界における働き方の見通しを解説した記事を下記にご紹介します。気になる方はご覧になってみてください。
建設業にも36協定の時間外労働の上限規制が適用、働き方はどう変わる?
施工管理技士のメリット
ここでは、施工管理技士のメリットを解説します。優れた収入面が大きな魅力です。
年収が平均より高く、昇給・昇格の可能性が高い
施工管理技士は高い収入を得やすいのがメリットです。一般的な平均年収が約500万円とされるなか、施工管理技士の平均年収は約620万円と推定されています。
また、施工管理技士は、実績に応じて昇給や昇格しやすいともいわれています。なかには、優れた実績が認められ、若いうちから現場所長を任される人もいます。
さらに、大手ゼネコンのように平均年収が約700~800万円に達する企業もあります。大手ゼネコンと仕事をしたときに実力を買われて引き抜かれるケースもあり、キャリアアップのチャンスは豊富です。
年収参考:
建築施工管理技術者
なお、施工管理の仕事の条件や収入についてはこちらの記事でも解説しています。
施工管理技士のデメリット
次に、施工管理技士のデメリットを紹介します。ライフワークバランスの取れた働き方をするには、最新の技術や制度を活用する必要があるかもしれません。
残業をゼロにするのは難しい
2024年4月に時間外労働の上限規制が建設業界にも適用されました。また、国交省が掲げる新3Kには「休暇」が含まれており、休暇を取りやすい環境の整備が官民一体で進められています。
これにより休暇を取りやすい文化は広がりを見せているものの、残業をゼロにするのは難しいのが実情です。施工管理技士は、昼間は現地で施工管理、定時後は事務所で施工計画や事務処理を行う流れが一般的。今後も残業をゼロにするには大きなハードルがあるといえるでしょう。
そのなかで注目を集めているのが、BIMをはじめとしたデジタル技術や、建設ディレクターなどの新たな職域です。デジタル技術を活用した効率的な施工管理や、建設ディレクターを取り入れた事務作業の切り分けにより、施工管理技士の負担削減が期待されています。
施工管理技士に向いている人の特徴
「新3K」の労働環境の整備が進められている建設業ですが、向いていなければ続けていくのは難しいでしょう。ここでは、施工管理技士に向いている人の特徴をご紹介します。
最初に挙げる特徴は、「まわりに気を配れること」です。施工管理技士は、数十社におよぶ専門業者と仕事を進めます。それぞれの業者が気持ちよく円滑に作業できる工程と作業環境を確保することで、スムーズに工事を進めながら良好な関係を築くことが重要です。現場で構築された良好な関係性は、その後の現場でも役に立ちます。
次に挙げる特徴は、「バランス感覚が優れていること」です。建設現場では、品質・工程・コスト・安全を守りながら工事を進めなければいけません。これらの管理は、「4大管理」と呼ばれ、施工管理技士の至上命題です。ときには、全てを完璧におさめるのが難しいケースもあります。そのようなときでも、よい妥協点を見つけながら建物全体として優れたものを目指すバランス感覚が大切です。
施工管理技士としてキャリアアップする方法は?
施工管理技士のキャリアアップの方法は数多くあります。先述のとおり、大手ゼネコンに転職して施工管理の仕事でキャリアアップを目指すのがひとつの選択肢です。
また、建設業とは異なる業種に転職するのもひとつの方法です。施工管理技士の仕事をしていると建物に関する深い知識が身に付くため、さまざまな業界で需要があります。
転職先の候補は、 不動産・デベロッパー・メーカー・大学などです。仕事内容は、プロジェクトのコンサルティング、建築主としての現場検査対応、施設管理、研究、教育など、多岐にわたります。
転職の際には、施工管理の実績のほか、資格が役に立ちます。「建築施工管理技士」や「建築士」といった建築全般に関する資格をはじめ、「管工事施工管理技士」などの工種ごとの施工管理技士資格が有効でしょう。
尚、建築士のその他の資格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
おわりに
現在の建設現場を取り巻く環境の紹介を交えながら、施工管理の仕事の将来性について解説しました。将来的にも建物の需要が低迷することは考えにくく、安定した職種といえるでしょう。
また現在は、 クリ-ンな労働環境の実現にむけた整備の過渡期にあり、これからは働きやすい環境を期待できます。建物に携わる仕事に興味のある方は、ぜひ志望してみてください。
この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
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