建築士のつらいところとは?対処法や転職の選択肢などを紹介
建築士は、建物や街という大スケールなものづくりを楽しめるやりがいのある職業です。一方で、建築士を志す方のなかには、身体的・精神的・時間的な負担に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、建築士ならではのつらいところをご紹介します。楽しい面よりつらい面が目立ってしまうと仕事を続けるのが負担になるため、転職を検討されている方は参考にしてみてください。
目次
建築士のつらいところ
それではさっそく建築士のつらいところをご紹介します。関係者の多さや扱う金額の大きさから生まれるプレッシャー、労働時間が主な要素です。
コストと性能の板挟み
大規模な建物の金額は、数百億円になります。建築主はそれだけのコストをかけて、企業や個人の夢のために建物を欲しているのです。建築士はその期待に応えるために全力を尽くす必要があります。
一方で、建築士が所属する建設会社としてもこれだけの規模のプロジェクトで赤字を出すわけにはいきません。薄利、場合によっては赤字で受注したプロジェクトでも、完工時に利益を確保できるように、設計や施工の段階でさまざまな努力をします。
建築士は、デザインや性能、品質といったポイントを守りながら、コストをマネージメントするのが重要です。お金が絡むことなので、計画を進めるなかで建築主や社内関係部署から強いプレッシャーを受けることがありますが、強い気持ちをもって建物の性能を担保できる設計を行わなければいけません。
多くの関係者との調整
建設業のプロジェクトは関係者が多いのが特徴です。建築主・プロジェクトマネージャー・設計者・施工者などが含まれ、それぞれの立場に数人~数十人の担当者が配置されます。近年、都市部のプロジェクトは大規模化が進んでおり、ステークホルダーが10社を超えるケースが増加傾向です。
関係者が多いと、会議体が増え、方針をまとめるのに大きな労力がかかります。異なる会議体での発言から方針が見直しになるケースも多々あります。そのため、組織間のしがらみや板挟みに合って精神的な負担が増えたり、資料作成に時間がかかって身体的・時間的な負担が増えたりするでしょう。
時間外労働が多い
令和6年の時間外労働の上限基準の適用に向けて、各企業で働き方改革が進められていますが、まだまだ繁忙期の時間外労働を削減しきれていないのが実情です。ますます厳格化している確認申請などの諸手続きのほか、3D対応などで建築士に必要な時間は増えています。
そんな中、注目されているのが、画像生成AIが作成したパースなどを用いた方針決定の試行です。その他にも、デジタルツールを用いた組織間のオープンなコミュニケーションで意見の相違に伴う手戻りの削減が試みられています。
現在はこれらの働き方改革の過渡期。設計のプロセスが最適化されれば、繁忙期も時間外労働が適正になるかもしれませんが、数年先にその未来が訪れる可能性が高いとはいいづらいのが実情です。
どうしてもつらいときの対処法
ここでは、建築士の仕事がどうしてもつらくなってしまったときの対処法をご紹介します。設計・監理の仕事でなくても建物に携わることは出来るので、つらくなってしまったときでも前向きに捉えてみてください。
部署を変える
建設会社にはさまざまな部署があります。見積・技術開発・広報・事務などが挙げられ、部署によっては設計部や監理部ほど負担は大きくないでしょう。また、設計部より働き方改革が進んでいる部署があるかもしれません。
建物との関わり方は変わりますが、設計部や監理部以外でも建物のものづくりを楽しめます。自分の特性にあった部署に属し、力を発揮するのもひとつの選択肢です。
自分の特性に合う業種に転職する
転職して業種を変えるのもひとつの方法です。建築の法基準や知識は複雑であり、建築士資格を所有している方はさまざまな業種で求められています。デベロッパー・不動産・プロジェクトマネージャー・確認審査機関・メーカーなど、転職先での役割や働き方はさまざまです。
転職すると、プロジェクトへのアプローチが異なるため、プレッシャーの質が変化します。自分の特性に合う業種を探してみてください。また、その時のプライベート環境に合わせてテレワークや育休といった制度を重視して職場を選ぶのもひとつの選択の仕方でしょう。
転職に際しては、建築士資格があれば需要の高い人材になれます。ぜひ取得してみましょう。建築士の資格については以下の記事で詳しく解説しています。
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建築士の平均年収
建築士は、つらさに見合う年収を受け取れる職業なのでしょうか。「求人ボックス 給料ナビ」では一級建築士の年収について、以下の情報を公開しています。
- 平均年収は499万円
- 年収485万円~558万円に該当する方が最も多い
- 全体の給与幅は339万円~924万円
また二級建築士の平均年収は、一級建築士よりも50万円~60万円低くなっています。
一方で国税庁が公表した「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収額は443万円です。この金額は二級建築士とほぼ同じ、一級建築士は平均よりも高い職業です。建築士は、つらさに見合う高い年収を受け取れる職業といえるでしょう。
尚、建築士の仕事内容や必要な資格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
建築士の求人募集例
「建築転職」で取り扱っている建築系の求人の中から、建築士の求人募集の一例をご紹介します。
(※2023年8月時点の求人情報です。募集内容は変わる可能性があります)
創業90年以上の設計事務所の求人
- 仕事内容:建築構造設計業務
- 応募条件:一級建築士、構造設計一級建築、技術士のいずれかを保有
- 完全週休2日制(土日)、年収は5,000,000円 〜 10,000,000円
- 設計事務所で設計業務に携わりたい方、建築士の方におすすめの求人です
公共施設の建築も数多く手掛ける建築設計事務所の求人
- 仕事内容:構造計算・設計、耐震診断等の業務
- 応募条件:二級建築士、構造設計一級建築士、構造設計の経験
- 完全週休2日制、年収は4,500,000円 〜 6,500,000円
- 公共施設、文教施設などの施工実績が多数ある設計事務所です。
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おわりに
建築士のつらいところと、どうしてもつらいときの対処法をご紹介しました。大きなやりがいのある仕事は、建築士に限らずつらいところがあります。そのつらい部分を上回る楽しさがあれば続けられるでしょう。迷ったときは、自分が建築士として藻掻きながらも楽しんでいる姿を想像してみてください。
以下の記事で建築士の将来性について紹介しているので、転職を検討されている方はこちらもあわせてお読みください。
この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
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