工事経歴書の書き方を解説。履歴書や職務経歴書とあわせて提出する工事経歴書とは?
工事経歴書は、企業や施工管理技士がそれまでの経歴を示す書類です。建築業界の中途採用では履歴書や職務経歴書とあわせて提出を求められることがあり、転職活動に取り組む方にとっては重要な書類といえるでしょう。
そこで今回は、工事経歴書の概要や転職活動における書き方を紹介します。経歴を正しく伝えるとともに、履歴書とあわせて自分の成果やスキルをアピールできる書類になるようにつくり込みましょう。これから建設業で転職活動を行う方は、ぜひ参考になさってください。
目次
工事経歴書とは
まずは工事経歴書の概要について解説します。
工事経歴書が持つ2つの意味
工事経歴書は、企業もしくは個人の工事実績を示す書類です。どちらの工事経歴書かによって、利用するシーンが異なります。
企業の工事経歴書
企業が工事経歴書を作成する場合、一般的には「事業年度1年間の工事実績」を示す書類を指します。企業の工事経歴書は、以下のようなシーンで提出が求められます。
- 建設業の許可申請を行うとき
- 決算変更届を提出するとき
- 公共事業の入札に参加するとき
個人の工事経歴書
個人の工事経歴書は、施工管理技士がそれまでに経験した工事を示す書類です。主に転職活動で使用する書類であり、履歴書と並んで重視されています。履歴書の職歴欄に記入するのは企業名・配属部署・担当職種程度のみであり、具体的に携わってきた工事については基本的に触れません。そのため、施工管理技士が企業の即戦力として十分な経験を有していることを採用担当者が確認するための資料として、工事経歴書の提出が求められるのです。
転職活動における工事経歴書の重要性
転職活動において工事経歴書は、採用担当者が即戦力としての活躍できる十分な経験を確認するための書類であることを述べました。反対に、応募者にとっては、自分の経験・成果・スキルをアピールする書類であるといえます。
ただし、ただ経歴を記入するだけでは、なかなかアピールに繋げることはできません。履歴書に記入する内容とリンクさせながらアピール力を高めることが大切です。このときのポイントについては後述するので、ぜひご覧になってみてください。
工事経歴書の書き方
ここでは、工事経歴書の基本的な書き方について解説します。企業の工事経歴書は地方自治体が用意したフォーマットがありますが、個人が転職活動で用いる工事経歴書は公的機関から入手することはできません。フォーマットが定められていない場合は、転職サイトなどのフォーマットを利用するとよいでしょう。
項目はフォーマットによって多少の違いがあります。経歴にあわせて使いやすい工事経歴書を選びましょう。ここでは、項目欄が用意されていることが多い内容を紹介するので、参考になさってください。
工事の基本事項
工事の基本事項としては、以下の項目が挙げられます。
- 工期
- 注文者
- 工事名
- 請負金額
- 工法
【工期】
着工日と竣工日を記入します。下請工事などの場合は、業務を開始・終了した日を記入しましょう。
【注文者】
工事の発注者を記入します。施主から工事を請け負った場合は「施主名」、元請事業者から下請工事を請け負った場合は「元請事業者」の名称を記入しましょう。施主が個人の場合は、個人が特定されないように表現します。
例:佐藤 史郎 → 個人A
【工事名】
工事全体を請け負っている場合はプロジェクト名称、下請工事を請け負っている場合は下請工事名称を記入します。下請工事の場合は、その内容がわかるようにします。工事名についても、個人名が使用されている場合は個人が特定されない表現にしましょう。
基本的には請負契約書などに記入されている正式名称を使用します。正式名称の記入がない場合や工事の内容をイメージしにくい名称である場合は、自分で工事名を考えても問題ありません。
例:個人A様邸新築鉄筋工事
【請負金額】
工事の請負金額を記入します。税込み・抜きのどちらで表現しても問題ありませんが、全体で統一するようにしましょう。JV(共同企業体)のように複数企業で参画している場合は、自社の出資割合に応じた金額を記入します。
【工法・規模】
担当した工事の工法や規模を記入します。
例:RC造 塔屋1階 地上9階 地下1階 延床面積10,000㎡
受電設備 6kV
発電設備 60kW
担当業務に関する事項
担当業務に関する事項としては、以下の項目が挙げられます。
- 職責
- 業務内容
- 担当業務
【職責】
対象工事における自分の職責を記入します。複数ある場合は列記しても問題ありません。
例:工事責任者、現場代理人、現場代理人補佐、監理技術者、主任技術者、統括安全衛生責任者
【業務内容】
業務内容を記入します。即戦力として活躍できることをアピールするために、応募職種に適した業務内容を優先するようにしましょう。ここに記入した内容が履歴書のアピールポイントとリンクしていると、説得力のある応募資料になります。
例:施工管理業務全般、鉄筋工事、安全管理、工程管理、原価管理、品質管理、下請業者との調整、廃棄物の管理
転職活動で使う工事経歴書の書き方のポイント
工事経歴書は経験した工事や役割を一覧にするだけの書類ですが、転職活動においては履歴書や面接とあわせてアピールに繋げることが大切です。ここでは、転職活動で使う工事経歴書の書き方のポイントを紹介します。
履歴書の内容とリンクさせる
転職活動では、履歴書(もしくは職務経歴書)と工事経歴書の2種類の書類があります。工事経歴書は、前述の通り経験した工事やそのときの役割を一覧にするだけの書類ですが、履歴書には「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」の項目のように自分をアピールできるスペースがあります。そのため、履歴書と工事経歴書の内容をうまくリンクできると説得力のある資料になるでしょう。
そこで、以下の2点を意識してみてください。
- 履歴書では工事経歴書に記載する工事や役割を絡めながら自分をアピールする
- 企業研究で学んだ企業の方針と自分の特徴・長所・経験を照らし合わせながら志望動機を組み立てる
これらを意識できると、工事経歴書に記載されている経験と自分の特徴・長所が、どのように企業に役立つのかをアピールできる可能性が高まります。
自分の役割・成果を明確にする
工事経歴書に記載する工事に関しては、そのときの自分の役割だけでなく、得られた成果を明確にしておきましょう。面接においては、どの工事について質問を受けるかわかりません。どの工事について質問を受けても、自分の価値をアピールできるように準備することが大切です。
成果については、具体的な数値を示せると説得力を高められます。
【具体例】
- 意識づけの徹底と不要な書類の撤廃により、施工管理担当者の時間外労働を月20時間削減した
- 産業廃棄物ヤードに担当者を新たに配置して整理整頓を徹底させ、職人の分別作業の生産性を2倍向上させた
「自分が何を意識して何をしたか」「どのような成果を得たか」などを振り返り、自己分析を行いましょう。
小規模プロジェクトでも自信を持ってアピールする
工事経歴書を作成していると、小規模プロジェクトばかりで自信がなくなってしまう方がいるかもしれません。たしかに大規模プロジェクトで重要なポジションを任されていれば説得力があります。しかし、それだけで採用可否を判断されるわけではありません。
大切なのは「何を目的に何を成し遂げたか」ということです。小規模プロジェクトでも、自分なりの目的を持って動き、確かな成果を得ていれば、しっかりと評価に繋がります。なぜなら、「目的意識とそれを成し遂げる強い意志を持つ人間は成長する」ということを採用担当者は知っているからです。
書類審査で興味を持ってもらえれば、面接で質問を受けることができるかもしれません。履歴書と工事経歴書をつくり込むことで自分のアピールしたい成果に興味を持ってもらい、面接に繋げましょう。
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おわりに
一般的に、転職活動における書類審査は、企業の即戦力として十分な経験・スキルを持っていない人材をふるいにかける場です。そのため、志望動機やアピールポイントなどよりも、工事経歴が重視される傾向があります。しかし、工事経歴などを転職活動の段階でよりよいものにすることはできないので、採用審査を受ける側としては、書類審査の先にある面接を見据えて志望動機などをつくり込むことをおすすめします。
履歴書の書き方については以下の記事が参考になります。
この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
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