マリコンとは?海洋土木業界の仕事内容と働く魅力、マリコン企業の転職先としての選び方を解説

海洋土木工事を得意とするマリコンは、港湾施設や海底トンネルなど、日本のインフラを支える重要な役割を担っています。この記事では、マリコンの基礎知識から働くメリット、企業の選び方までわかりやすく解説します。

マリコンとは?海洋土木工事の専門企業

マリコンとは、「マリン・コントラクター」の略称です。ゼネコンのなかでも、海洋関係の土木工事や港湾施設、海底トンネルといった海洋土木工事を得意とする建設会社を指します。陸上とは異なる「海」という特殊な舞台で活躍する専門的な技術・知識を持っていることが特徴です。

港湾における建設工事、海底トンネル・橋梁・護岸工事、埋め立て、浚渫※など、海に関連するインフラ事業を行うため、マリコンは浚渫船をはじめとする専門的な船を持っています。技術だけでなく作業に必要な機械も特殊なので、一般的な建設会社は参入しにくい分野といえるでしょう。

代表的なマリコンとしては以下の企業が挙げられます。

  • 五洋建設株式会社
  • 高松コンストラクショングループ
  • 東亜建設工業株式会社
  • 東洋建設株式会社

※浚渫(しゅんせつ):水底の土砂などを取り除く作業

マリコンで働くメリット

高度な専門知識や技術を存分に発揮できることや、国家規模のプロジェクトに携われること、さらには国際的なキャリアを築けることなど、技術者として大きく成長できる環境がマリコンの魅力です。

高度な専門技術が身につく

マリコンで働く大きなメリットのひとつは、海洋土木工事という高度に専門化された技術を習得できることです。海洋土木工事では、陸上の工事では経験しない潮汐や波浪、海流といった自然条件を考慮しながら施工を進める必要があるほか、浚渫船や起重機船といった特殊な船の技術、水中における構造物の設置に関する知識など、他の建設分野では得られない専門性を身につけることができます。

こうした技術は業界内で高く評価され、キャリア形成において大きな強みとなります。海洋土木工事の需要は国内外で安定しており専門技術を持つ人材は常に求められているため、将来的にも安定した需要を期待できるでしょう。

国家規模のインフラ事業に携われる

マリコンで働くもうひとつの魅力は、国家規模のインフラ事業に携われることです。港湾施設は国際物流の要となる重要なインフラであり、海底トンネルや橋梁は地域と地域をつなぐ生活の基盤となります。

このようなプロジェクトは完成までに数年から十年以上を要することも珍しくなく、プロジェクトの企画段階から設計、施工、完成まで一貫して関わることで、大きな達成感とやりがいを得られます。

また、自分が携わった構造物が何十年にもわたって社会に貢献し続けることは、技術者として大きな誇りとなることでしょう。国や地域の発展に直接貢献できる仕事は限られており、その点でもマリコンの仕事は特別な価値を持っています。

海外展開も活発で国際的なキャリアも可能

マリコンは高い技術で海外においても活躍しており、国際的なキャリアを築くチャンスがあります。アジアを中心とした新興国では港湾インフラ整備の需要が高まっており、日本のマリコンが持つ知識・技術は国際的にも高く評価されています。

海外プロジェクトに参画することで、異なる文化や法制度のもとで働く経験を積むことができ、語学力や国際的なコミュニケーション能力も向上します。また、海外での施工経験は技術者としての市場価値を大きく高め、将来的なキャリアの選択肢を広げることにつながるでしょう。

グローバルな視点を持ちながら日本の技術を世界に発信できることは、マリコンで働く大きな魅力のひとつです。

マリコン企業の選び方

マリコンを選ぶ際には、自分のキャリアビジョンやライフスタイルに合った企業を見極めることが重要です。専門分野や施工実績、海外事業の状況、働き方など、多角的な視点から検討することで、長く活躍できる環境を見つけることができます。

企業の専門分野と施工実績で選ぶ

マリコンの企業調査は、まず専門分野と施工実績を確認するところから始めてみましょう。一口にマリコンといっても、港湾施設の建設に強い企業、海底トンネルや橋梁工事を得意とする企業、浚渫工事を専門とする企業など、それぞれに特色があります。自分がどのような海洋土木工事に携わりたいのか、将来的にどのような専門性を身につけたいのかを考え、それに合った技術を持つ企業を選ぶことで思い描いたキャリアを実現しやすくなります。

また、施工実績の多さは技術力の高さを示す指標のひとつです。大規模プロジェクトの受注実績が多ければ、最先端の技術に触れる機会も多くなります。ウェブサイトや採用情報で過去の代表的なプロジェクトを確認し、自分の関心に合う企業を見極めましょう。

海外プロジェクトの実績で選ぶ

国際的なキャリアを目指す方にとっては、海外プロジェクトに参加する機会があることが非常に重要です。マリコン業界は全体的に海外展開が活発ですが、企業によって海外事業の規模や対象地域は異なります。アジアを中心に展開する企業もあれば、中東やアフリカなど幅広い地域でプロジェクトを手がける企業もあります。海外勤務を希望する場合は、採用情報や企業説明会で海外事業の比率や海外赴任の頻度、若手社員の海外派遣実績などを確認しましょう。

また、語学研修制度や海外赴任前の研修プログラムが充実している企業なら、初めての海外勤務でも安心して挑戦できます。積極的に国際的な経験を積み、技術者としての視野を広げながらキャリアを築いていくことで世界を牽引するグローバルなエンジニアを目指しましょう。

研修制度とキャリアパスで選ぶ

語学に限らず、長期的なキャリア形成を考えると企業の研修制度とキャリアパスの明確さは重要な判断材料です。マリコンの仕事は専門性が高いため、入社後の教育体制が整っているかどうかで成長速度が変わってきます。新入社員向けの基礎研修に加え、専門技術を習得できる実務研修、資格取得支援制度など、成長のサポートが充実している企業を選ぶことで着実にスキルアップできます。

また、技術職としてのキャリアパスだけでなく、将来的にプロジェクトマネージャーや管理職を目指せる道が用意されていることも確認しましょう。社内におけるキャリアの選択肢が豊富な企業ほど、自分の適性や希望に応じて柔軟にキャリアを設計できます。

勤務地と働き方で選ぶ

海洋土木工事は工事現場が海上や沿岸部になるため、勤務地や働き方の特性を理解した上で進路を決めることが重要です。

建設地によっては長期間の現場勤務や宿泊を伴う出張が発生することもあり、生活環境が大きく変わるかもしません。転勤の頻度や配属先の範囲を事前に確認しておきましょう。

また、近年は建設業界でも働き方改革が進み、労働時間の適正化や週休2日制の導入に取り組む企業が増えています。労働時間や休暇取得状況の実情を把握し、ライフスタイルを考慮しながら自分に合った働き方ができる企業を選びましょう。

給与水準と福利厚生で選ぶ

給与水準や福利厚生も重要です。マリコン業界は専門性が高く、国や官公庁からの大規模プロジェクトが多いため、給与水準は安定している傾向があります。ただし、企業規模や業績によって給与体系は異なるため、初任給だけでなく昇給制度や賞与の実績もみておきましょう。住宅手当や家族手当、現場手当などの有無によっても実質的な収入が変わります。

また、福利厚生面では、各種社会保険のほか、退職金制度、社員寮や社宅、健康診断、メンタルヘルスケアなど、長期的に安心して働ける環境が整っていることをチェックしましょう。

待遇面で納得できる企業を選ぶことで、精神的にも身体的にも負担が減り、仕事に集中できるようになります。

おわりに

マリコンは、海洋土木工事という高度に専門化された分野で世界のインフラを支えています。専門技術を身につけながら大規模プロジェクトに携わり、国内外で活躍できるグローバルな技術者を目指しましょう。

プロジェクトによってはなかなか家に帰れないケースもありますので、働き方の面でも企業を見極めることが大切です。大きなやりがいを糧に、マリコン業界でのキャリアを検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を監修した人

プロフィール写真

株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武

保有資格:1級施工管理技士・一級建築士

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