設備施工管理(空調・給排水設備)の転職先とは?持っていると役立つ資格や求人例も紹介

設備施工管理(空調・給排水設備)の転職先とは?持っていると役立つ資格も紹介

設備施工管理で扱うさまざまな役割のひとつが、「空調・給排水設備」の施工管理です。衛生(給排水)設備と空調設備を扱う職種で、建物の性能に見合った適切な機器の選定や、配管の調整など、業務内容は多岐にわたります。

この記事では、空調・給排水設備の施工管理の役割や転職先、持っていると役立つ資格をご紹介します。建物の快適性に関わる仕事に興味のある方、建設業への転職を考えている方は、ぜひご覧になってみてください。

設備施工管理(空調・給排水設備)の仕事内容

それでは、設備施工管理(空調・給排水設備)の仕事内容について解説します。この仕事ができることで得られる強みや、求められている人材もあわせてみていきましょう。

設備施工管理(空調・給排水設備)の役割

設備施工管理(空調・給排水設備)の主な役割は、空調・給排水に関する工事の工程・原価・安全の管理です。

工程管理は、工期内に作業を終えられるように管理する仕事です。他の業者との調整を行いながら工程表を作成し、材料の調達や人員の配置を計画します。

原価管理は、コストを予算内におさめるのが重要です。管工事の材料や製品の原価、人件費を含む工事費を算出し、原価低減を意識しながら計画を進めます。

安全管理は、作業員の安全を守る業務です。安全器具の徹底使用の指導や、足場や手すりなどの適切な作業環境の整備をとおして、災害事故が発生しないように配慮します。

そのほかにも、配管が建物の躯体や天井などと干渉しないように調整したり、施主の要望に応えられるように製品を提案したり、さまざまな担当業務があります。工事が進んでいくなかで、絶えず調整や変更の対応をするので、スケジュール管理を徹底し、広い視野をもって業務にあたるのが重要なポイントです。

設備施工管理(空調・給排水設備)の強み

設備施工管理(空調・給排水設備)ができることで得られる最大のメリットは、全国どこでも求人があること。空調・給排水設備はどの建物でも必要な設備なので、建設においては欠かせない役割です。

また、近年はリノベーションや改修工事が増えており、既存の空調・給排水設備を有効活用できれば費用削減につながるため、そのような提案をできる人材は特に需要が高いでしょう。

転職先の選択肢が多いこともメリットのひとつ。サブコントラクターや、内装工事業者、不動産会社など、求人している業種はさまざまです。

工場や研究所を扱う企業では、設備更新などの担当者として設備施工管理をできる人材を求めているケースがあります。このケースでは工場勤務になるのが一般的なので、職場が安定するのがメリット。職場や勤務時間など、ライフスタイルに合わせて仕事環境を選びやすいのがうれしいポイントです。

設備施工管理(空調・給排水設備)で求められる人材

設備施工管理(空調・給排水設備)で求められるのは、調整・スケジュール管理・コミュニケーションの能力が高い人材です。

実務では、配管がおさまらない、作業に遅れが生じて工期に間に合わない、施主の要望で機器が変更になるなど、計画中や工事中のさまざまな課題に応じて調整が生じます。その際に、施主や他業者を含めた関係者と密にコミュニケーションを取りながら、工期を守れるようにスケジュールを管理するのが重要です。

また、設備施工管理者は、作業員にとってのリーダーでもあります。先を見通して計画を立て、明確な指示で作業員を動かし、作業を完了させるのが、リーダーとしての大切な役割です。作業員と良好な関係を築き、先頭に立って引っ張っていく素質のある人材が求められています。

尚、その他の施工管理の仕事や求められる資格については以下の記事で解説しています。

設備施工管理(空調・給排水設備)の転職先

ここでは、設備施工管理(空調・給排水設備)で考えられる転職先をご紹介します。

ゼネコン

ゼネコンの設備施工管理は、サブコンと協業しながら、空調・給排水・電気などの設備に関する工事を全面的に管理します。サブコンが行う配管計画などをまとめあげ、業者間の調整を行うのが主な業務。大規模な建物が多く、担当する業務範囲が広いため、やりがいのある仕事に就きたい方におすすめです。

サブコン

サブコンの設備施工管理は、配管の細かい調整や作図、3Dモデルの作成などを行うのが特徴。施工に向けた詳細設計の詰めの部分を担当するので、非常に細かい調整が必要です。空調・給排水工事の専門知識と技術を武器に、基本設計で調整できていない部分をまとめられる人材が求められています。

また、自社の作業員に指示を出して作業を進めることが、サブコンの特徴のひとつです。計画だけでなく、施工を責任者として管理していくため、ものづくりを楽しみたい方におすすめです。

内装工事業者

内装工事業者の設備施工管理は、内装工事の配管計画などを担当します。特に、居抜き物件の内装工事を行う場合は、既存の設備を有効活用することがコスト削減の大きなポイント。既存の設備の健全性を判断し、優れた既存活用の提案ができる人材が求められています。

内装工事業者の特徴は、施主との距離感が近いこと。施主に対してトイレやユニットバスなどの製品を提案したり、要望を実現するために一緒に調整したりする機会が多いため、施主とともにものづくりに取り組んでいる実感を強く得られるでしょう。竣工時に施主が喜んでいる姿を間近で見られるのは、次へのモチベーションにつながります。

工場・研究所・プラントを扱う企業

先述したとおり、工場や研究所、プラントを扱う企業では、設備更新の担当者として設備施工管理者を求人しています。日々のメンテナンスや、劣化した配管や機器の交換の手配などが主な業務です。

また、工場を新築・増築するときには、ゼネコンやサブコンの窓口として、プロジェクトの担当者を任されるケースがあります。施設利用者の要望を計画に反映させ、コスト・開業日を守れるようにゼネコンやサブコンと調整するのが重要な役割です。

設備施工管理(空調・給排水設備)で持っていると役立つ資格

設備施工管理(空調・給排水設備)には、持っていることで価値があがる資格があります。取得することで知識がつくほか、転職などに役立つので、ぜひ取り組んでみてください。

管工事施工管理技士

「管工事施工管理技士」は、配管工事の施工管理に関する国家資格です。4,000万円以上のプロジェクトでは「1級管工事施工管理技士」、4,000万円未満のプロジェクトでは「2級管工事施工管理技士」を有していると、専任技術者・主任技術者・監理技術者として工事に携わることができます。

専任技術者などは工事現場への配置が義務づけられているポジションなので、非常に需要の高い資格。取得するには管工事に関する体系的な基礎知識が求められるため、管工事の教材としてもぴったりです。

建築設備士

建築設備士は、国家資格のひとつで、建築士に対して建築設備の設計・工事監理に関する適切なアドバイスを行える資格です。建築士法では、「延べ面積が2,000平米を超える建築物の建築設備に係る設計又は工事監理を行う場合においては、建築設備士の意見を聴くよう努めなければならない」とされています。

施工管理ではなく、設計・監理に関する資格であるのがポイント。法に関する内容などを理解することができるため、施工管理の仕事でも役立つでしょう。

建築士

建築士は、建築を設計・監理するうえで必要な国家資格です。計画・環境・設備・法規・構造・施工などの建築全般に関する知識が求められます。建築における最も基本的な資格であり、職種に関わらず、建築関係者であれば取得しておきたい資格です。

先に述べたとおり、設備施工管理者は、関係者との調整が重要な役割。そのためにも、建築・構造・設備の設計者や他業種の施工者が、どのような法的な条件、考え方のもとで計画を進めているのかを知るのが大切です。建築士の資格を有していることで、建築全体の包括的な知識を所持していることを示せるため、価値の高い資格になります。

建築士の資格については以下の記事をご覧ください。



設備施工管理(空調・給排水設備)の平均年収

設備施工管理の年収は、お持ちの資格により変わります。職種そのものの年収と関連する資格の年収を、「求人ボックス」「求人ボックス 給料ナビ」のデータをもとに以下の表にまとめました。

職種や資格 平均年収 備考
「施工管理 配管」の仕事 449万4,000円 平均月給は321,000円。ボーナスを2カ月分と仮定
管工事施工管理技士 497万円 425万円から502万円の方が多い
建築設備士 550万2,000円 平均月給は393,000円。ボーナスを2カ月分と仮定
一級建築士 499万円 485万円から558万円の方が多い

設備施工管理は資格なしでも一定の収入を得られますが、資格を取得することでより高い収入を得ることが可能です。

設備施工管理の求人募集例

建築転職」で取り扱っている建築系の求人の中から、設備施工管理の求人募集の一例をご紹介します。
(※2023年8月時点の求人情報です。募集内容は変わる可能性があります)

設備施工管理(空調)の求人

  • 仕事内容:新築RC造中高層マンションの設備施工管理業務
  • 応募条件:建築設備経験者
  • 週休2日制
  • 年収4,000,000円 〜 7,500,000円
  • 現場支援金、結婚祝い金、出産祝い金、GLTD制度、労働災害上積み保証、人間ドック補助など福利厚生が充実

設備施工管理(水処理プラント)の求人

  • 仕事内容:水処理施設工事の現場代理人兼監理技術者
  • 応募条件:2級以上の施工管理
  • 完全週休2日制(土・日・祝休み)
  • 年収6,500,000円 〜 9,500,000円
  • 創業70年以上、元請け工事9割のエンジニアリング会社

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おわりに

設備施工管理(空調・給排水設備)は全国で求人がある、需要の高い職種です。担当できる業務内容は多岐にわたり、職場や勤務時間がライフスタイルに合う企業を選びやすいのがメリット。また、快適な建物を実現するやりがいのある役割なので、仕事で自己実現を感じたい方におすすめです。

はじめは資格がなくても携われる仕事なので、建設に興味のある方は、ぜひ目指してみてください。

この記事を監修した人

プロフィール写真

株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武

保有資格:1級施工管理技士・一級建築士

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