【2024年版】建築学科(建築学部)が強い大学はどこ?一級建築士の出身校別合格者数ランキング
建築を志す学生の多くが通うのが、大学の建築学科です。建築学科の選択肢は非常に豊富で、なかにはユニークな学部構成やカリキュラムで教育を実施している大学もあります。そのため、どの大学にするか悩んでいる方もいるかもしれません。
この記事では、建築学科とは何かに関するQ&Aや、建築学科の違いを見分けるポイントを紹介します。2023年度の一級建築士の合格者を大学別にランキングした結果とあわせて参考にしてみてください。
目次
建築学科(建築学部)に関するQ&A
ここでは、建築学科(建築学部)に関するよくある質問に答えていきます。“建築学科とは”という基本的な内容からみていきましょう。
学部と学科の違いは?
“〇〇大学 工学部 建築学科”という表現を目にしたことがあるかと思います。ここでは、「学部」と「学科」の違いをみていきましょう。
「学部」とは、大学を構成する単位であり、教育及び研究上の組織を指します。工学部・医学部・農学部・文学部・経済学部などが学部の例です。
「学科」とは、「学部」を構成する単位であり、専門分野に細分化された科目を指します。工学部“建築学科”・医学部“薬学化”・農学部“農業生物学科”・文学部“史学科”・経済学部“経営学科”などが例として挙げられます。
建築を学びたい場合は、各大学の工学部に属する建築学科に志望するのが一般的です。しかし、一部の大学には例外があります。
例えば、近畿大学は「建築学部」を設けているのが特徴です。“文系・理系を問わない、得意分野を生かした建築専門家の育成”をコンセプトに挙げていることから、工学部ではなく建築学部を設置しているようです。
また、東京大学は、入学時はすべての学生が「教育学部」に入り、3年生からそれぞれの学部に進学振り分けをするのが特徴です。 これには、専門分野にとらわれず、興味を持ったことを広く学ぶ「リベラル・アーツ」を重視している姿勢が反映されています。
このように、大学の思想によって学部や学科の構成が異なるケースがあるので、大学のホームページやパンフレットを参考に、自分に適した大学を探してみてください。
建築学科で学べる分野は?
ひとことで建築と表しますが、建築の専門はさまざまな分野に分かれています。一般的に建築学科で学べる分野は下記のとおりです。
- 建築計画:人間の行動や心理に適した建築を研究する
- 建築意匠:建築のデザインや、実践的な意匠計画を研究する
- 都市計画:まちづくりや交通工学などを幅広く研究する
- 建築史:歴史から社会と建築の関係性を研究する
- 建築構造:構造力学や、鉄筋コンクリート・鉄骨などを研究する
- 建築材料:材料の強度や耐久性、防火・不燃性などを研究する
- 建築環境:建築に関わる光や音、熱について研究する
- 建築設備:機械設備や電気設備など、環境を整える機械を研究する
実務においては、自分の専門以外について知見があることが強みになります。大学にいる間は建築全般に興味を持ち、幅広い基礎知識を身に付けるのが大切です。
建築学科は大学ごとにどういう違いがある?
大学を選ぶ際、それぞれの建築学科の違いが気になる方が多いかと思います。ここでは、大学ごとの特色を知るための参考となるポイントを紹介します。
大学の思想
はじめに見るべきなのが、“大学の思想”です。前述の近畿大学を例に挙げると、“文系・理系を問わない、得意分野を生かした建築専門家の育成”という思想を掲げています。
意外に思う方もいるかもしれませんが、建築デザインの分野では、文系の学生が活躍するケースが珍しくありません。建築は、その土地の気候風土や時代の流れを汲んだストーリー性が重要。文系の学生は、ストーリーを組み立てるのが得意なので、その土地に適した建築を計画できるのです。
文系の学生が文学的な強みを建築に活かしたいのであれば、近畿大学の思想がぴったりですよね。自分の強みややりたいことが明確であれば、大学の思想が選択のきっかけになるかもしれません。
カリキュラム
次に確認すべきなのが“カリキュラム”。大学の思想が反映されたプログラムがカリキュラムです。これらをあわせて確認することで、どのようなことを学べるかをより明確にイメージできるでしょう。
専門に特化して学びたい、専門以外の分野も広く学びたい、他校とのデザイン交流でアイディアの幅を広げたいなど、カリキュラムを通してやりたいことを実践できるかを確認してみましょう。
教授のプロフィール
最後に挙げるのが、“教授のプロフィール”です。
学生は卒業論文などを各研究室の教授のもとで研究・執筆します。当然、研究内容はその教授の専門分野になるので、自分が学びたい専門分野の教授が大学にいることが重要です。なかには、「この教授からどうしても学びたい」という学生もいるでしょう。
建築の設計を志す学生は、大学院まで通うケースが一般的です。大学院に入るとより密接に教授と関わることになります。師となる人物を探す気持ちで見てみてください。
建築学科に通えば一級建築士の試験は受けられる?
令和2年に建築士試験の受験要件が緩和されました。その結果、大学・短期大学・高等専門学校で指定科目を修めて卒業すれば、実務経験を経なくても、卒業直後から一級建築士試験を受験可能になりました。
ただし、一級建築士として認められるには、一級建築士としての登録が必要です。卒業直後に試験に合格したとしても、登録して認められるためには、大学卒業後の建築実務の経験が2年以上必要なので留意しましょう。
参考:令和2年から建築士試験の受験要件が変わり、新しい建築士制度がスタートします!(国土交通省住宅局建築指導課)
一級建築士の出身校別合格者数大学ランキング・TOP10(2023年度)
ここでは、建築士試験を実施している公益財団法人建築技術教育普及センターのデータに基づき、2023年度の出身校別合格者大学ランキング・TOP10※を紹介します。各大学の特徴とともに、参考にしてみてください。
※「学歴」を受験資格として申し込んだ者のみの人数です。「二級建築士」等を受験資格とした者は、上記学校の出身者であっても含まれません。
日本大学(143人)
【学部・学科】
日本大学 理工学部 建築学科
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
143人
【特徴】
教授陣に幅広い分野のスペシャリストをそろえ、1・2年次の基礎必修科目、3・4年次の専門的選択科目のカリキュラムが充実しています。
東京理科大学(117人)
【学部・学科】
東京理科大学 工学部 建築学科
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
117人
【特徴】
「人々の暮らしの基盤となる建築を通して社会に貢献」がコンセプトの建築学科です。経験豊かな教員による指導のもと、計画・環境・構造の基礎・専門教育を実施しています。
芝浦工業大学(99人)
【学部・学科】
芝浦工業大学 建築学部 建築学科
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
99人
【特徴】
入学からカリキュラムが「AP(先進的プロジェクトデザイン)コース」「SA(空間・建築デザイン)コース」「UA(都市・建築デザイン)コース」に分かれているのが特徴。幅広い建築専門分野と豊富なゼミ・研究室がメリットです。
参考:建築学科(芝浦工業大学)
早稲田大学(75人)
【学部・学科】
早稲田大学 創造理工学部 建築学科
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
75人
【特徴】
建築学を「建築芸術分野」と「建築工学分野」に分けているのが特徴。建築芸術分野は“建築史・建築計画・都市計画”、建築工学分野は“建築構造・建築生産”で構成されています。建築学科卒業生の約70%が建築学科の大学院である研究科建築学専攻に進学。
参考:建築学科の概要(早稲田大学創造理工学部・研究科 建築学科/建築学専攻)
近畿大学(65人)
【学部・学科】
近畿大学 建築学部
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
65人
【特徴】
「“守り育てる建築”を目指して」がコンセプトの建築学科です。建築の工学的な面だけでなく、社会・経済・歴史・文化との関係性に着目しているのがポイント。これらを通して、時代の変化に順応して変革する建築に関する知見を深めることを目的としています。2022年度は建築学部の卒業生の約17%が大学院である総合理工学研究科に進学。
明治大学(62人)
【学部・学科】
明治大学 理工学部 建築学科
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
62人
【特徴】
「建築のプロフェッショナルをめざして」というコンセプトの建築学科です。「構造・材料」系、「環境・設備」系、「歴史・意匠・計画」系の3つの学問分野を授業・演習を通して段階的に学べるカリキュラムが組まれています。
参考:建築学科(明治大学)
工学院大学(61人)
【学部・学科】
工学院大学 建築学部
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
61人
【特徴】
「くらしと環境に寄り添うこれからの建築へ」をコンセプトに掲げています。まちづくり学科・建築学科・建築デザイン学科で構成される建築学部を持ち、1・2年次の共通カリキュラムを学んだあと、3年次で専門学科を決定できます。
参考:建築学部(工学院大学)
名城大学(56人)
【学部・学科】
名城大学 理工学部 建築学科
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
56人
【特徴】
名城大学の建築学科のコンセプトは、「機能性・経済性にも優れた、感動を与えられる空間づくり。」です。建築を工学・技術・芸術の総合的な学問と位置づけ、安全性・機能性・経済性を兼ね揃えた魅力的で快適な空間構築を学ぶことができます。
千葉大学(51人)
【学部・学科】
千葉大学 工学部 建築学コース
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
51人
【特徴】
「芸術と技術の融合した建築物をつくる」をコンセプトに掲げています。大学院を含めた“6年一貫プログラム”が特徴です。また、海外の大学との交換留学など、国際交流に力を注いでいます。
参考:建築学コース(国立大学法人千葉大学工学部・工学研究院)
神戸大学(50人)
【学部・学科】
神戸大学 工学部 建築学科
【一級建築士試験合格者数(2023年度)】
50人
【特徴】
「環境との共生、安全で豊かな生活空間の創出」のため、専門性と総合性を結合した教育が特徴。計画・構造・環境という建築の基礎的学問領域とあわせ、これらを総合して現実的な課題に対する解答を導き出す“空間デザイン”の能力を養成しています。
おわりに
大学の選択は人生における大きな決断のひとつ。大学で出会う仲間と生涯付き合っていくことになる方も多いでしょう。そんな仲間とどんなことを学ぶかは非常に大切なことです。この記事がみなさまの人生の役に立つことができれば幸いです。
なお、建築士の仕事内容や必要な資格についてはこちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
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