「施工管理はやめとけ」と言われる理由とは?仕事の実態と向いている人の特徴

「施工管理はやめとけ」、ものづくりが好きで建設業界で活躍したいと考えていても、こんな言葉を聞いて不安を感じてしまう方も多いのではないでしょうか。施工管理は建設プロジェクトの要となる仕事ですが、長時間労働や責任の重さなど、厳しい一面があることも事実です。
この記事では、施工管理が「やめとけ」と言われる理由や、環境改善の動き、そして向いている人の特徴について詳しく解説します。
目次
「施工管理 やめとけ」と言われる5つの理由
施工管理が「やめとけ」と言われる背景には、いくつかの具体的な理由があります。ここでは、実際に現場で働く人たちが直面する課題について、5つのポイントに分けて詳しく見ていきましょう。
長時間労働・残業・休日出勤が多い
最も大きな理由のひとつが、長時間労働の多さです。建設プロジェクトは短工期で契約を結ぶケースも多く、時期によっては深夜作業や休日出勤が発生します。特にトラブルで工事の進捗が遅れている場合や、天候不良で作業が中断した後のリカバリー、竣工前の追い込み期間などは、労働時間が長くなる傾向にあります。
国土交通省も年間労働時間が長い業界と認知しており、時間外労働の上限規制を遅らせていました。ワークライフバランスを重視する人にとっては厳しい環境といえるでしょう。
体力的な負担が大きく、気候の影響を受けやすい
施工管理の仕事は、デスクワークだけではありません。現場を回りながら下請業者の作業員に指示を出したり、工事の進捗を確認したりと、体力を求められる場面が多くあります。
さらに、夏は炎天下、冬は厳しい寒さと、気候の影響を直接受けることになります。風邪や熱中症といった体調不良のリスクも高く、健康管理には十分な注意が必要です。特に若手のうちは現場を歩き回ることが多いため、体力に自信がない人にとっては大きな負担となるかもしれません。無理をせず少しずつ身体を慣らしていきましょう。
精神的な負担が大きい
施工管理は、設計者と職人の間に立ち、技術面の調整だけでなく両者の要望や意見をコントロールする役割を担います。設計者が思い描いたものをつくるのが技術的に難しい場合、現実的な落としどころを探りながら進めなければならず、精神的にも辛い場面が少なくありません。
また、事故防止、品質管理、工期の遅延防止など、さまざまな責任を負うことになります。予期せぬトラブルが発生した際は工事全体への影響を考慮しながら迅速かつ適切な判断をしなければいけないため、人によっては大きな精神的なストレスを感じるでしょう。
マルチタスクによる業務の複雑さ
マルチタスクをこなさなければいけないことも、施工管理の仕事が難しい理由のひとつです。品質・原価・工程・安全の「4大管理」に加え、工事書類の作成、業者・建築主との打ち合わせ、来客対応など、多岐にわたる業務を並行して進める必要があります。
朝は現場で作業指示を出し、日中は打ち合わせや現場巡回、夕方以降は事務所で書類作成といったように、一日の中でさまざまな役割を切り替えながら業務を進めなければなりません。このようなマルチタスクによる忙しさや難しさが、施工管理の負担を大きくしています。
給与面で負担の重さに見合わないと感じることがある
施工管理の仕事は大きな負担を伴いますが、それに対し給与が見合わないと感じることがあります。長時間労働や休日出勤が多いにもかかわらず、みなし残業のせいで十分な対価を得られないケースや、責任の重さに対して給与が低いと感じるケースも存在します。
経験を積んでいけば待遇は改善される傾向にありますが、キャリアの初期段階では金銭面での不満を抱える人も少なくありません。こうした待遇面の課題が、施工管理を敬遠する理由のひとつとなっています。事前調査をしっかり行えば対策できますので、適切な待遇を期待できる建設会社を選ぶようにしましょう。
施工管理の環境改善への取り組み
厳しい労働環境が指摘される施工管理の仕事ですが、近年は業界全体で環境を改善するための取り組みが進められています。ここでは、働き方改革や人材育成の強化など、具体的な取り組みをみていきましょう。
働き方改革による労働環境の改善
近年、建設業界でも働き方改革が広がっており、労働環境の改善に取り組む企業が増えています。時間外労働の上限規制が適用されたことで労働時間の見直しや休日確保の動きが活発になったことに加え、週休2日制を導入する企業や、繁忙期と閑散期で労働時間を調整する仕組みを取り入れる企業も出てきました。
また、ICT技術を活用して業務を効率化し、書類作成や進捗管理の負担を軽減する取り組みも広がっています。こうした環境改善により、以前と比べて働きやすくなっている現場も増えてきました。
教育体制の整備と人材育成の強化
施工管理の人材不足を背景に、新人教育プログラムの充実や人材育成の強化に力を入れる企業が増えています。具体的には、入社後の研修制度を整備し未経験者でも段階的にスキルを習得できる環境を用意することで人材を増やしたり、資格取得支援制度を設けてキャリアアップをサポートしたりしています。
これらの制度は、自分の成長に繋がるだけでなく、後輩が育つことで業務の負担が軽減されることにもなるので非常に有効です。施工管理の仕事は実践経験の中で学ぶのが一般的だったので、初心者にとってはうれしい環境づくりですね。先輩社員によるメンター制度や、定期的な面談を通じて悩みや不安を解消する仕組みを導入する企業もあり、若手が安心して働ける環境づくりが進められています。
技術者派遣など新しい働き方の登場
施工管理の働き方も多様化しており、正社員として企業に所属するだけでなく、派遣社員として活躍している方も増えています。派遣の場合、元請会社と派遣会社の間の契約で労働時間が定められているため、過度な時間外労働を避けられるケースもあります。
また、プロジェクト単位で働くことができるため、自分のペースでキャリアを築きやすいこともメリットです。さまざまな元請会社の現場を経験できれば、ひとつの会社の枠に制限されないスキルの幅が強みになることでしょう。
施工管理のなかでも、比較的ホワイトな環境に恵まれやすい働き方については、以下の記事で紹介しています。
施工管理に向いている人の特徴
施工管理は確かに厳しい面もありますが、適性がある人にとってはやりがいのある仕事です。ここでは、施工管理に向いている人の特徴を具体的に見ていきましょう。
施工管理に向いている人には、次のような特徴があります。
- コミュニケーションが得意
- ストレス耐性が高い
- 達成感を重視する
まず、コミュニケーションが得意でさまざまな意見をうまくまとめられることが、施工管理に向いている方の条件といえます。設計者、職人、発注者など、さまざまな立場の人と円滑にやり取りを進め、それぞれにメリットが生まれるようにまとめながらプロジェクトを進める力が求められるからです。
次に、ストレス耐性があることです。工事現場では身体・精神的な負担や予期せぬトラブルへの対応で大きなストレスが発生します。ときには困難をうまく受け流し、ストレスを発散しながら柔軟に対応できるストレス耐性や器用さがあるとよいでしょう。
最後に、大きなやりがいで達成感を得たい方にとっては、施工管理は非常に魅力的な仕事といえます。建物という大きなものづくりを成し遂げたときの充実感は、他の仕事では得られないやりがいとなるでしょう。
施工管理の仕事の楽しさについては、以下の記事で詳しく解説しています。
おわりに
「施工管理はやめとけ」と言われる背景には、長時間労働や体力・精神的負担などがあります。しかし、働き方改革や教育体制の整備により環境は着実に改善されつつありますので、事前調査をしっかり行うことで過酷な労働環境は避けられるでしょう。
施工管理は大変な仕事ではありますが、成し遂げることができればやりがいを感じられます。この記事を参考に、自分が施工管理に向いているかどうかをじっくりと考え、納得のいくキャリア選択をしていただければと思います。
この記事を監修した人

株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
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