設備管理の仕事内容を詳しく解説、関連する資格、就職・転職先候補、良いところやキツイところも紹介

設備管理の仕事内容を詳しく解説、関連する資格、良いところやキツイところも紹介

設備管理の仕事とは、どのような仕事なのでしょうか?ここでは、仕事内容の詳細に加えて関連する資格や、良いところやキツイところ、やりがいなどを詳細に解説しています。設備管理の仕事に興味がある学生や、転職を機にこの仕事を検討している方にとって仕事のイメージが明確になる有益な内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。

設備管理はどんな仕事?

設備管理は、ビル・ホテル・病院・学校といった建物に使用されている設備の維持管理を行う仕事です。ここで言う維持管理とは、設備点検、機械の動作確認、劣化の診断、部品の修理・交換などのメンテナンス作業全般を指します。

建物管理業務

建物管理業務とは、建物全体の総合管理を行う業務のことで、設備管理・清掃・警備の3種類に分けることが出来ます。本記事では、設備管理に特化して詳細を解説します。

設備管理の仕事内容の詳細

具体的に設備管理では、下記7つの設備に関するメンテナンスを行います。

  • 1.水道設備
  • 2.電気設備
  • 3.ガス設備
  • 4.冷暖房などの空調設備
  • 5.貯水槽やポンプなどの排水設備
  • 6.エレベーターなどの機械設備
  • 7.防災設備

設備管理と施設管理の仕事の違い

それぞれの仕事の定義は、下記のように分けることが出来ます。

  • 設備管理:
    建物内の設備機器の点検・維持管理・保守を担当する業務
  • 施設管理:
    建物内の管理に関する総合的なマネジメントを担当する業務

上述の建物管理業務には、設備管理・清掃・警備の3業務があることを解説しました。設備管理とは、そのうちの一役を担っている一方で施設管理は、3業務を統括する業務が該当し、テナント対応・オーナー対応・顧客との折衝などを主業務とします。このように建物管理の総合的なマネジメントをすることから施設管理は、「ビルマネジメント」と呼ばれることもあります。

施設管理の具体的な業務詳細は、建物の管理状況の報告、工事・修繕見積もりの提出、中長期修繕計画など賃貸経営に関わる範囲まで及びます。現場の細かい作業調整よりも、顧客への説明やクレーム対応などのコミュニケーション能力が重要視される傾向にあります。

設備管理に関係する資格

設備管理は建物内の現場実務を担当するため技術系の資格が必要です。加えて、建物の規模や用途、設置してある機器の種類によっては、法律上、取扱責任者の選任が義務付けられている資格もあります。主な資格は以下の通りです。

  • 1.建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)
  • 2.第三種電気主任技術者
  • 3.エネルギー管理士
  • 4.第二種電気工事士
  • 5.種冷凍機械責任者
  • 6.危険物取扱者乙種4類
  • 7.二級ボイラー技士
  • 8.消防設備士乙種4類

ビルメン三種の神器

上記資格のうち、建築物環境衛生管理技術者第三種電気主任技術者エネルギー管理士は、「ビルメン三種の神器」と呼ばれており、管理監督する立場にあたる人に必要な資格となっています。他資格と比較して取得難易度が高く選任が義務付けられている建物が多いため、有資格者は転職などにも有利になります。

エネルギー管理士の資格は以下の記事で詳しく解説しています。

ビルメン四点セット

上記資格のうち、第二種電気工事士第三種冷凍機械責任者危険物取扱者乙種4類二級ボイラー技士は「ビルメン四点セット」と呼ばれています。冷凍機やボイラーの管理・点検、電気工事、危険物の扱いが発生する場面では、有資格者の選任が必要になります。

ビルメン五点セット

ビルメン四点セットに消防設備士乙種4類を加えたものを「ビルメン五点セット」と呼びます。

設備管理の仕事をする人

設備管理の仕事はどんな会社が募集している?(就職・転職先候補)

設備管理に関する主な就職先・転職先候補は以下の3種類があります。

独立系ビルメンテナンス会社

親会社を持たないビル管理を専門とする会社が該当します。次項で解説する大手系列系のように大手会社の子会社ではなく、文字通り独立して一つの会社として設備管理業務を他社から請け負っている会社のことを指します。一般的に、設備管理だけでなく清掃や警備業務を一緒に請け負うことが多いです。

独立系では、入札を通して官公庁の案件を受注するケースや、営業が開拓を行い、一つ一つ仕事を請け負うことで成り立っています。大手系列系では、自動的に親会社から仕事を依頼されるケースもありますが、独立系ではそういった受注がないのが特徴的です。

系列系ビルメンテナンス会社

系列系とは、具体的に、不動産(デベロッパ-)・ゼネコン・商社・銀行・保険会社などの大企業を親会社に持っているビル管理会社が該当します。管理物件は、一般的に親会社である大手企業が保有する傾向にあり、独立系のように他社と競合して管理業務を営業・入札するケースは少ないです。

一方で、忙しい現場も多く、親会社のコンプライアンスや安全管理意識が高い傾向にあるため、独立系と比較すると、厳しく高い能力が求められる傾向にあります。

プロパティマネジメント会社

設備管理や施設管理が建物のハード面を管理する一方で、プロパティマネジメントは主にソフト面の管理を行います。具体的には、施設管理業務の他に、賃貸借契約書の締結、書類管理、補修・修繕設計や工程管理などのマネジメント業務に加えて不動産経営業務を担当します。

プロパティマネジメント会社では、現場業務に加えて経営知識が重要になるため、設備以外の知識にも広い範囲の知識が求められます。オーナー代行という立ち位置で仕事を行うため、建物に関して幅広い権限を持つ一方で、責任も重くなります。

設備管理の仕事の良いところ、キツイところ

ここからは、実際の設備管理の仕事において、良いところを紹介します。反対にキツイところも紹介していますので、両方を知ったうえで設備管理の仕事に就くか、じっくり考えてみてください。

良いところ

  • 資格手当:
    本職務は、資格取得が業務に直結します。そのため資格取得の手当てを支給する企業が多いです。
  • 残業時間:
    決められた範囲の仕事がメインであることに加え、勤務時間はシフト制によって時間管理されており、残業は基本的にありません。プライベートの時間を多く確保したい方には好条件になり得ます。
  • ハードワークが少ない:
    日常点検、専門業者への仕事の依頼、立会検査等の主たる業務以外では、勤務日報や検査報告書をまとめる事務作業、次回点検の準備など、緊急性の高い仕事が少ない傾向にあります。納期やノルマ等があり〆切を意識しなければならない仕事と比較すると、精神的にバランスを取りやすい仕事と言えます。
  • 無資格でも求人がある:
    入社後に資格取得を求める求人もありますが、応募段階では無資格でも応募可能な企業も多いため、挑戦するハードルが低い傾向にあります。

キツイところ

  • 年収:
    業界年収は280万円程度とあまり高くない傾向にあります。
  • 夜勤:
    宿直等の夜勤勤務が一般的で、日勤と夜勤を組み合わせるため生活リズムが崩れるリスクがあります。
  • 汚れを伴う作業:
    建設業界全般に言えることですが、現場仕事のため空調機・ダクト・汚水槽などの点検・修理等では服に汚れが発生します。基本的に作業服を着用するので私服が汚れるわけではありませんが、作業に伴う汚れを嫌がる人もいます。

設備管理の仕事のやりがい

ここからは、設備管理の仕事のやりがいを4つピックアップしてご紹介します。

①専門性の向上

設備点検業務には、専門知識が必須です。上述の関連資格取得に加えて実務を通して培う専門性は、今後のキャリアにも非常に役に立ちます。資格保有は、転職のメリットに加えて、資格取得一時金などの手当ての支給や給与のベースアップにも寄与します。

②成長を実感しやすい

技術系の仕事は、これまで出来なかった業務をこなせるようになったり、分からなかった仕組みを理解出来るようになったりするのもやりがいのひとつです。仕組みを理解して自身で点検・補修が出来るようになると、大きな成長を感じることが出来るでしょう。このような達成感や成長を実感しやすい環境は、働くモチベーションの維持や向上にもつながります。

③顧客と直接的に仕事ができる

設備管理は、技術系の仕事の中でも珍しくC to C(消費者同士の取引)の側面がある業種です。技術職は一般的にB to B(企業同士の取引)の側面があり、顧客は法人であるケースが多く、顧客から直接的に感謝される機会は少ない傾向にありますす。設備管理は保守・点検が主な仕事ですが、有事の際に緊急修理業務等を担当し、迅速に修理・修繕を手配することが出来ると、担当者から直接的に感謝されます。この達成感は大きなやりがいにつながるでしょう。

④人々の生活基盤を支えている

設備管理は、設備機器が通常通り動いていることを管理する仕事のため、毎日何か変化する中で仕事をしたい人にとっては物足りなく感じてしまう一方で、人々の日常を支えているという実感が大きなやりがいに感じる人もいます。

設備管理の仕事が向いている人

ここまでをふまえて、設備管理の仕事が向いているのはこんな人、という傾向をご紹介します。

①責任感のある人

病院での業務では、人の命に直結する機器のメンテナンスを管理するため、大きな責任感が伴います。社会人としてどんな仕事であっても責任感を持つことは当然ですが、特に入念な検査や点検を要する業務では、より責任感を持って作業することが求められます。

②勉強が好きな人

設備管理では資格取得を前提としている求人もみられますし、入社後に専門知識の習得が求められるケースがあります。日常の業務に加えて、資格取得の勉強を並行できる人には非常に向いています。加えて設備関係の仕事で業務の幅を広げていきたいという人にとっては、「設備管理に関係する資格」で述べた各種資格の学習を通して専門性を身に付けることも可能です。

設備管理の平均年収

「求人ボックス 給料ナビ」では、設備管理に関する「設備保全」や「ビルメンテナンス」の平均年収を公表しています。

  • 設備保全:415万円
  • ビルメンテナンス:351万円

設備管理の平均年収は、高くありません。年収の分布を見ると、300万円台の方が多くなっています。一方で国税庁が公表した「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収額は443万円となっています。設備管理は社会人の平均年収よりも、1割から3割ほど低いことが実情です。

もっとも年収350万円ほど得られれば、ひとまず生活はできるという方も多いでしょう。仕事内容がご自身に合うと思う方は、年収の低さを気にする必要はありません。

設備管理の求人募集例

建築転職」で取り扱っている建築系の求人の中から、設備管理の求人募集の一例をご紹介します。
(※2023年8月時点の求人情報です。募集内容は変わる可能性があります)

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  • 仕事内容:商業施設における内装・建築の設備設計
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  • 仕事内容:設備設計の業務全般
  • 応募条件:設備管理経験
  • 完全週休2日制(土日・祝日休み)
  • 年収4,500,000円 〜 7,000,000円
  • 資格手当あり(一律1万円、2資格目からは5,000円)

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おわりに

設備管理の仕事内容を明確にイメージできたでしょうか。施設管理との業務の違いに加えて、良いところとキツイところ、やりがいなどを認識できたと思います。この記事を読んで設備管理の仕事に興味を持つ方や、関連する資格の取得を検討する方が増えることを願っています。

この記事を監修した人

プロフィール写真

株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武

保有資格:1級施工管理技士・一級建築士

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