工務店の施工管理の仕事の流れについて解説、プロジェクトへの携わり方・やりがいも紹介(+平均年収、求人募集例)

工務店の施工管理の仕事の流れについて解説、プロジェクトへの携わり方・やりがいも紹介

地域密着型のスタイルで戸建住宅の新築やリフォームを得意とする工務店。小規模の会社が多く、ひとりの担当者に複数の役割を求められるケースもあるので、応募にためらってしまうこともあるかもしれません。

この記事では、工務店の施工管理者のプロジェクトへの携わり方や、やりがいをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

工務店の仕事内容の流れと施工管理者の携わり方

工務店の仕事は、「営業」→「設計」→「施工管理」という流れで進んでいきます。工務店の特徴は、少人数体制であるために、設計者が営業を兼務していたり、施工管理者が営業段階から参画したりすることです。それぞれの担当者がお互いの役割を把握し、先を見据えた提案・計画を行う事で、施主が喜ぶ建物を効率的に提供できます。ここでは、それぞれの仕事内容を解説するので、施工管理者として工務店で働きたいと考えている方も、営業と設計業務を把握しておきましょう。

営業

工務店の営業では、施主の要望に基づいた「自由度の高い設計が可能」であるというメリットを施主に伝えることが重要になります。会社の仕様に縛られすぎず、要望に応じた検討を行い、小規模の会社ならではの速やかな決定で計画を進められるからです。

工務店では、営業専門の担当者はおらず、社長や設計担当者が営業を兼務するケースが一般的です。施工管理者も営業段階から参画し、設計の実現可否や工程の検討、施工の観点からよりよいアイディアの提案を行うことで、合理的かつ魅力的な建物を実現できます。設計者・施工管理者が一体となって施主に対してわかりやすく説明し、要望をうまく聞き出すことが大切なポイントです。

営業活動が実を結び、契約を締結すると実施設計作業に移ります。

設計

工務店の設計は、地域密着型のスタイルを活かし、その土地の風土にあった形で施主の要望を実現することが重要です。また、内装材や外装材、キッチンなどの製品を自由に選べることも工務店のメリットなので、施主の好みに合う製品を積極的に提案できると喜ばれるでしょう。

施工管理者は、その土地の風土にあった材料の提案や、採用する製品の納期の管理及び工程の調整などで、よりよい建物の実現やスムーズな施工に貢献します。

設計作業が終わると建築基準法に基づいた申請を行い、いよいよ着工を迎えます。

施工管理

着工後は施工管理者が責任をもって作業の進捗を管理します。工程・原価・品質・安全の4大管理を徹底し、安全かつスムーズに作業が進むように職人と密に連携を取ることが重要です。

戸建住宅の新築やリフォームでは、施工管理者と施主の距離感が近いことも多く、施工管理者が直接要望をヒアリングすることもあります。要望の実現可否の検討、見積作業、施工図の修正、職人への伝達など、期中の営業・設計業務を兼務しながら施工管理にあたります。

無事に竣工すると、諸手続きを済ませ、施主に建物を引き渡します。

工務店の施工管理の具体的な仕事内容

施工管理の主な業務は、工程・安全・品質・原価を管理することです。これらをまとめて「4大管理」と呼び、常に意識しておかなければいけません。工務店の4大管理のポイントは、職人ひとりひとりと意思伝達をしっかり行う事と、施主とのやりとりで生じる変更への対応です。ここではそれぞれの管理について解説いたします。

工程管理

工程管理は、工程表を作成し、適切に職人や資材を手配することで滞りなく工事を進捗させる業務です。工務店の場合は小規模なので、ひとりの施工管理者がすべての職人と業者を管理するのが基本となります。職人と業者が段取りよく作業に取り組めるように、進捗に合わせた工程表の修正を行うこと、修正に応じた手配を徹底することが大切です。

安全管理

安全管理は、職人のケガの防止や、周辺住民の安全確保ための業務です。朝礼での危険作業の確認、作業員のヘルメット着用の徹底、手すりなどの安全設備の整備、搬入車両の警備などを行います。リフォームの場合は施主と作業場所でやり取りをするケースもあるので、施主が危険な場所に立ち入らないように注意する必要があります。

品質管理

品質管理は、設計図通りに施工されていることを確認する業務です。施工が完了した部位はタイムリーに検査を行い、仕様通りに施工され、必要な性能が確保されることを確認しなければいけません。不具合があった場合は、職人に是正方法を伝達し、是正後の確認を行います。施主に検査内容を報告することで、順調に工事が進んでいると安心してもらうことにもつながります。

原価管理

原価管理は、着工前の見積金額に工事費用が収まるように調整する業務です。施主に満足してもらえる建物を提供することも大切ですが、利益を出して会社を存続させることも施工管理者の重要な役割です。

工事中は施工管理者が営業の役割を担うため、施主の期中の要望に対しても見積を行い、追加費用を合意しながら作業を進める必要があります。設計者ともうまく連携を取りながら、利益を確保したうえで施主の満足につながる変更提案を行いましょう。

工務店でリフォームの施工管理をする男性

工務店の施工管理の仕事に役立つ資格

工務店の施工管理の仕事に役立つ資格には、国家資格「1級/2級建築施工管理技士」があります。建築施工管理技士の資格を取得すると、建設現場に設置が義務付けられている監理技術者や主任技術者として配属可能です。

2級は主任技術者になれる物件の規模が制限されています。工務店で扱う物件は2級建築施工管理技士で十分であるケースも多いですが、将来的に大きな物件を扱いたいと考えている場合は、ぜひ1級建築施工管理技士を目指してみてください。建築施工管理技士は、ゼネコンなどへのキャリアアップにも役立つ資格です。

1級/2級建築施工管理技士はそれぞれ下記の記事で詳しく解説しています。


工務店の施工管理のやりがい

工務店の一番大きなやりがいは、施主の喜ぶ姿を間近に見られることです。工務店は施主との距離が近く、営業段階から竣工まで密にコミュニケーションを取りながら設計・施工に取り組みます。マイホームという夢を共有して実現に向けてともに進むので、完成したマイホームを喜ぶ施主の姿が自分のことのようにうれしく感じられることでしょう。

また、職人と共有する達成感も工務店のやりがいのひとつです。自分の施工計画に基づいて作業してくれた職人と無事に竣工を迎え、お互いを労うことで職人との関係性がさらに強くなります。同じ苦労を経験し、達成感を共有し、お互いを知ることでよりよい建物をつくれるようになります。その後のプロジェクトでも一緒に仕事をしていくことになるので、職人ひとりひとりと絆を深めることが、すばらしい仕事につながるのです。

工務店の施工管理に向いている人

工務店の施工管理に向いている人の特徴は、「コミュニケーション能力に長けていること」です。工務店の施工管理者は、施主・設計者・職人・業者の円滑なコミュニケーションの橋渡し的な役割を担うからです。

施主から要望を聞き出すためには良好な関係を築くだけでなく、建築に関する難しい内容をわかりやすく説明しなければいけません。また、聞き出した要望は設計者と共有し、設計図にまとめ、職人や業者に変更内容を正確に伝えて施工してもらう必要があります。変更に難色を示す職人もいるかもしれませんが、暖かいコーヒーを飲みながらやわらかく伝えれば、快く引き受けてくれるかもしれないですよね。

このように工務店の施工管理者には、シチュエーションに応じたさまざまなコミュニケーション能力が求められます。

工務店の施工管理者に向いている人のもうひとつの特徴は、「先を見通す能力に長けていること」です。工務店では施工管理をひとりで担当するため、工事に関するすべての事象を把握して管理にあたる必要があります。トラブル発生時は、後工程への影響や、対応費用などが最小限となるように先を見越して対処することが大切です。常に先見の明を持って対応することが、よりよい建物や、利益の確保につながります。

工務店の施工管理の平均年収

年収は、働くうえで気になるポイントの一つです。ここでは求人ボックスのデータをもとに、施工管理職と施工管理技士の年収を確認していきましょう。

職種や資格 平均年収
1級建築施工管理技士 565万6,000円
2級建築施工管理技士 522万2,000円
施工管理 445万円

施工管理職全体の平均年収は、社会人全体の平均年収と同程度です。国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は443万円となっています。

一方で「求人ボックス 給料ナビ」では、施工管理の給与幅を350万円~1,071万円と公表しました。施工管理職で働く方は経験を積みスキルアップすることで、年収のアップが可能です。

工務店の求人募集例

建築転職」で取り扱っている建築系の求人の中から、工務店の求人募集の一例をご紹介します。
(※2023年8月時点の求人情報です。募集内容は変わる可能性があります)

外壁塗装の施工管理の求人

  • 仕事内容:戸建てなどの元請け塗装の施工管理
  • 応募条件:普通自動車免許、経験重視
  • 週休2日制
  • 年収3,705,000円 〜 7,150,000円
  • 施工管理経験者は優遇

創業65年以上の地域密着の工務店の求人

  • 仕事内容:工事の発注、工事ごとの採算管理や工程管理、安全管理
  • 応募条件:施工管理経験2年以上
  • 完全週休2日制、年間休日110日
  • 年収3,600,000円 〜 5,600,000円
  • 家族手当:扶養配偶者15,000円、子6,000円/人

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まとめ

工務店の施工管理は施主との距離が近く、マイホームの夢を共有できる素敵な仕事です。小規模ならではの苦労もありますが、職人と苦労を共有しながら困難を乗り越え、無事に竣工を迎えられると大きな達成感を感じられます。施工管理をひとりで担当し、建物をつくりあげたという実感を強く得られる役割なので、ものづくりが好きな方はぜひ応募を検討してみてください。

施工管理の仕事内容や求められるスキル等は下記の記事で詳しく解説しています。

この記事を監修した人

プロフィール写真

株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武

保有資格:1級施工管理技士・一級建築士

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