電験三種(第三種電気主任技術者試験)は何ができる資格?転職するなら持っておくべき?平均年収・求人例も紹介
電験三種(第三種電気主任技術者試験)は、電気に関する高度なスキルを示せる資格です。この記事では電験三種の試験内容や難易度、転職における価値も含め、どのような資格か詳しく解説します。
目次
電験三種(第三種電気主任技術者試験)はどんな仕事ができる?
電験三種は以下の制限があるものの、多くの施設で電気主任技術者に選ばれ、電気設備の監督者になれる資格です。
- 電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物
- 発電所の場合は、出力が5,000キロワット未満
代表的な職場を、以下に挙げました。
- オフィスビルや複合ビル
- 工場
- コンビニエンスストア
- バイオマスや風力、水力、地熱などの再エネ設備
- 太陽光発電所(50キロワット以上2,000キロワット未満)
- 中小規模のデータセンター
- 商業施設
ほとんどの施設は、電験三種の資格で電気主任技術者になれる
経済産業省では監督可能な自家用電気工作物について、どのレベルの電気主任技術者が必要か、資格の種類ごとの件数を示しています。
電気主任技術者 | 該当する自家用電気工作物 |
---|---|
第1種(電験一種) | 約100件 |
第2種(電験二種) | 約1万件 |
第3種(電験三種) | 約90万件 |
出典:経済産業省「電気保安人材の現状分析と取組の方向性について」
電験三種でよい自家用電気工作物が約90万件あることに対し、電験二種以上を要する自家用電気工作物は1万件程度に過ぎません。ほとんどの施設では、電験三種があれば十分です。
電験三種の試験内容
電験三種は一次試験のみで合否が決まる一方で、試験の方式は以下の2つから選べます。
- 筆記方式(試験会場に集まって受験し、紙の答案に解答する)
- CBT方式(受験する日時と会場を指定し、会場のパソコンを使って受験する)
資格の取得には、以下の4科目に合格する必要があります。各設問とも、すべて五肢択一方式です。
科目 | 試験時間 | 解答数 |
---|---|---|
理論 | 90分 | A問題:14題 B問題:3題(選択問題あり) |
電力 | 90分 | A問題:14題 B問題:3題 |
機械 | 90分 | A問題:14題 B問題:3題(選択問題あり) |
法規 | 65分 | A問題:10題 B問題:3題 |
試験は上期・下期それぞれ1回ずつ受験できます。一部の科目だけ合格した場合は科目合格となり、最大で5回後の試験まで科目免除が受けられます。
筆記方式の試験内容
筆記方式は電気技術者試験センターが試験日を公表し、指定した日に実施する方式です。試験は4科目を1日で行い、解答はマークシートに記入する方式で行われます。受験後、試験問題の持ち帰りは可能です。
CBT方式の試験内容
CBT方式は、受験者が指定した日時と会場で受験できる方法です。科目ごとに別々の日に受験することも可能です。画面上で解答するため、鉛筆等の用意はいりません。一方で試験問題は書面で提示されないため、持ち帰りはできません。
電験三種の難易度・合格率は?独学でも可能?
電験三種は、難関資格の一つです。ここからは電験三種の合格率や、独学でも合格可能かという点について解説します。
電験三種の難易度や合格率
電験三種は、1回の試験で合否が決まる試験です。過去5年間の合格率を、以下の表にまとめました。なお令和4年度は、上期試験と下期試験の合計です。
年度 | 合格率 |
---|---|
令和4年度 | 11.7% |
令和3年度 | 11.5% |
令和2年度 | 9.8% |
令和元年度 | 9.3% |
平成30年度 | 9.1% |
合格率はどの年も1割前後と、狭き門です。難易度の高い資格といえるでしょう。全問マークシート方式だからと油断せず、試験対策をしっかり進めることが合格の近道です。
電験三種は独学でも合格できる?
電験三種は独学でも合格可能ですが、勉強方法には工夫が必要です。以下の項目を意識して学習を進めると、合格に近づくでしょう。
- 通信講座など、合格へのノウハウが詰まった教材を活用する
- 科目合格制度を活用し、2~3年で合格を勝ち取るプランを立てる
- 学習のモチベーションを維持し続ける
電験三種の合格には、1,000時間の勉強が必要といわれています。限られた時間を有効活用する必要があり、優れた教材の選択が合否を左右します。また、合格まで何度も受験する方が多い試験ですので、合格へのモチベーションを維持することも重要です。
電気業界で転職するなら電験三種の資格を持っておいたほうがいい?
電験三種は、電気に関する高いスキルを証明する資格です。電気業界での転職に有利となりますから、資格を持っておくとよいでしょう。
電験三種は、有資格者の不足が懸念されている資格です。経済産業省では2030年の時点で約800人不足し、2040年以降は需要よりも1割以上有資格者が少ない状況が続くという見通しを公表しています。「資格を持つ方をなんとしてでも欲しい」というニーズが見込まれますから、電験三種の価値も今後ますます高まることでしょう。
電験一種種、電験二種の資格の詳細は以下の記事で解説しています。
電験三種(第三種電気主任技術者試験)の平均年収
電験三種は、電気主任技術者の8割前後を占めています。求人ボックスによると、電気主任技術者の平均月給は339,000円です。ボーナスを年2カ月分と仮定すると、年収は474万6,000円となります。
この年収額は、給与所得者全体のなかでは比較的高い額です。国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均年収を443万円と公表しています。電験三種の平均年収は、30万円程度高くなっています。
また電気主任技術者の月給は、月額50万円前後まで幅広く分布しています。経験を積み実力を高めることで、より高い年収を得ることも可能です。
電験三種を応募条件に含む求人例
「建築転職」で取り扱っている建築系の求人の中から、電験三種を応募条件に含む求人募集の一例をご紹介します。
(※2023年8月時点の求人情報です。募集内容は変わる可能性があります)
大手建築設計事務所の求人
- 仕事内容:病院、学校、庁舎などの建設に関わる電気設備設計業務
- 応募条件:一級建築士、建築設備士、設備設計一級建築士、技術士、電験三種(第三種電気主任技術者)のいずれかの資格
- 完全週休2日制(土日祝休み)
- 年収5,000,000円 〜 10,000,000円
尚、建築士の資格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
準大手ゼネコンの求人
- 仕事内容:電気、空調、給排水等の管理・設計・積算
- 応募条件:1級管工事施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、第三種電気主任技術者、建築設備士のいずれかの資格
- 週休2日制(土日休み)
- 年収5,530,000円 〜 8,190,000円
- 独身寮、外勤手当、在宅勤務手当、従業員持株会制度、資格取得者への報奨金制度あり
尚、施工管理技士の資格についてこちらの記事で詳しく解説しています。
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この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
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