建設業界で好条件の転職を実現するには?未経験でもOK?有利な資格や転職活動の進め方
いま全国で、再開発や大規模開発プロジェクト、災害復旧工事が行われています。これらの工事を担う建設業界は、注目される業界の一つです。良い条件で働きたいと思う方も、多いのではないでしょうか。
この記事では建設業界を目指す方に向けて、好条件の転職を実現する方法を解説します。未経験でも転職できるのか、有利な資格はなにか、転職活動の進め方についても確認していきましょう。
目次
建設業界の求人の状況は?
建設業界は慢性的な人手不足であり、求人の多い状態が続いています。この記事ではまず、実際の求人状況について確認していきましょう。
建設業界は深刻な人材不足
建設業界は、深刻な人材不足となっています。その理由には、以下の4点が挙げられます。
- 受注額は増えているのに従業員は増えない
- 離職率は他の業界と同等の水準
- 従業員の年齢層が高い
- 2024年4月からは週休2日制の導入を迫られる
国土交通省が2021年11月に公表した「建設業の働き方改革の現状と課題」によると、官民あわせた2021年度の建設投資額は59兆円で、2011年度の42兆円と比べて1.4倍に増えました。一方で建設業の従業員数は2011年度から2021年度まで、ほぼ横ばいで推移しています。
工事が増えているのに従業員数が変わらなければ、人手不足は深刻化します。事実、2022年7月度の有効求人倍率は5~10倍と、大変高くなりました。
職業 | 有効求人倍率 (常用・除パート) |
---|---|
建設躯体工事の職業 | 10.25倍 |
建設の職業 | 5.00倍 |
土木の職業 | 6.32倍 |
建築・土木・測量技術者 | 6.38倍 |
参考・引用:
国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題」
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年7月分)について 参考統計表8-1」
この状況で離職率が低い水準であれば、また、若い人材が多ければ、人手不足もやや緩和されるかもしれません。しかし、厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、建設業の離職率は9.3%と平均的です。一方で建設業就業者の高齢化は著しく、2020年では36%の従業員が55歳以上。29歳以下の従業員は11.8%にとどまります。近い将来、退職者の急増に悩むことでしょう。
働き方改革は、建設業界の人材不足を加速させる要因です。そもそも建設業就業者の休日は少なく、先述の資料「建設業の働き方改革の現状と課題」によると、およそ4分の3の従業員は4週当たり6日以下の休日しか与えられていません。
一方で、2024年4月以降は以下の内容による、罰則付きの時間外労働の上限規制が建設業にも適用されます。
- 労働時間は1日8時間、週40時間が限度
- 時間外労働時間は月45時間、年間360時間が限度
時間外労働の上限規制により、完全週休2日制の導入を迫られる企業も多いでしょう。従業員1人当たりの休日が増えれば必要な従業員数は増えますから、人手の不足感は増します。
建設業の人材不足は複合的な要因によって引き起こされているため、解消は簡単ではありません。つまり、転職希望者にとっては当面の間、転職しやすい状況が続くと考えられます。
経験者・資格保持者は好条件で転職するチャンス
人材不足に悩む建設会社にとって、業界のプロフェッショナルはぜひとも欲しい人材です。以下に挙げる方は、多くの会社から求められることでしょう。
- 建設業界の経験者
- 建設業に関する資格の保持者
上記に該当する方は入社後速やかに戦力となり、業績向上に寄与できる優れた人材です。建設業界経験者限定の求人にも応募できるなど、企業の選択肢が広がるため有利です。より収入や休日が多く、働きがいのある職場を選びやすいでしょう。このため建設業界経験者や建築系の資格保持者は、好条件で転職するチャンスがあります。
建設業界が未経験でも転職できる?
「同じ採用するなら、即戦力が良い」、このことは、どの企業も同じでしょう。しかし、人手不足のこの時代、企業は業界経験者や有資格者にこだわってはいられません。未経験者を育成し戦力にできなければ、競争に勝ち抜けないでしょう。つまり、やる気さえあれば、建設業界未経験者でも転職は十分に可能な状況というわけです。
むしろ重要なことはご自身の得意分野や興味を活かすこと、無理せずに仕事をこなせる職種を選ぶことです。異業種の経験でも建設業界で強みを活かすことは可能ですから、十分に業界研究を行いましょう。体力に自信のない方は、あまり体力がなくても良い職種を選ぶなど、ご自身の得意不得意をふまえて求人を探してみてください。
建築系の資格は、あれば考慮されますが、なくても心配いりません。必要な資格は、入社後に伝えられるでしょう。仕事に慣れてから業務に直結する資格を取ることは、最小の努力で最大限の効果をあげられる方法です。
建設業界での転職活動を有利に進める方法
転職活動を少しでも有利に進めるにはどうすればよいか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ここからは資格と経験に分けて、有利に進める方法を考えていきましょう。
建設業界での転職で持っていると役立つ資格
建設業界へ転職するなら、以下の資格があると役立ちます。ただし、どの仕事にも有効な資格はありません。希望する職種に応じた資格を取りましょう。
資格名 | 資格の種類や活用できる仕事の例 |
---|---|
建築士 | 建物の設計や工事監理。二級は住宅など小規模な建物の設計が主体。一級は多種多様な建物を設計できる |
施工管理技士 | 建設工事の施工管理に役立つ。建築、土木、管工事など業種別に7種類に分かれている |
技能士 | 工事現場での実務能力を示す。型枠施工、鉄筋施工、造園など、職種ごとに技能検定が用意されている |
測量士 | 測量業務 |
建築CAD検定 | パソコンを使った図面の作成業務 |
宅地建物取引士(宅建) | 営業など、不動産の取引業務 |
建設業経理士 | 建設業関係の経理業務 |
すでにどれかの資格をお持ちであれば、関連する職種にチャレンジするとよいでしょう。また、資格のなかには、誰でも受験できるものもあります。目指す職種が決まっている方は、事前に資格を取っておくこともよい方法の一つです。
転職に有利になる建築施工管理技士の資格については、以下の記事で詳しく解説しています。
尚、施工管理職の仕事内容についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
他業種の経験を活かす方法
異業種からの転職の場合でも職種が変わらない場合は、これまでの経験を活かせます。法人営業や事務職は、該当する代表的な職種です。建設業界ならではのノウハウを身につけ、業務に活かせばよいわけです。
設備管理職など建設業界に関連する業種からの転職も、経験を活かせる例に挙げられます。修繕工事に追われない建物はどう作るべきかという知見は、より良い建物づくりに役立つことでしょう。
これまでの経験で建設業界との共通点がない場合でも、心配はいりません。たとえば、営業やディレクションの経験をお持ちであれば、スケジュール管理能力やコミュニケーション能力を発揮することで仕事が円滑に進み、良い評価を得られるでしょう。
建設業界で転職活動を進める際のポイント
建設業界への転職を目指す方は、まず職種を決めることが重要です。建設業界にはさまざまな職種があり、求められる能力も異なります。代表的な職種を以下に挙げました。
- 建設作業員
- 現場監督
- CADオペレーター
- 事務職(営業事務、現場事務など)
- 営業職
転職活動を進める際には仕事内容だけでなく、以下のポイントにも注意を払いましょう。
- 応募先企業の専門分野
- 主な取引先(何次請けなのか、公共工事は多いのかなど)
- 勤務条件や休日休暇
- 給与や賞与、昇給
- 研修制度や教育体制
転職活動といえば転職サイトを使った応募や、ハローワークの利用を思い浮かべる方が多いでしょう。なかにはフリーペーパーやコミュニティ情報紙を使う方もいるかもしれません。しかしこれらの方法は、転職活動をサポートしてくれる担当者がつかないという難点があります。
間違いのない転職活動には、転職エージェントの活用も有力な手段です。担当のキャリアアドバイザーがつき、あなたに合った転職活動をサポートしてくれます。応募書類や面接のアドバイスも受けられるので、非常に心強いです。非公開求人に応募できることも、大きなメリットといえるでしょう。
転職エージェントの利用は、登録がスタートです。キャリアアドバイザーに相談したのち、あなたに合った企業の紹介が行われます。条件に納得できたら応募しましょう。キャリアアドバイザーに任せきりにせず、ご自身でもチェックし判断することが納得いく転職につながります。
建設業界に特化していて、かつ施行管理経験のある専門アドバイザーがつく転職サービスもありますので、建設業界で転職を目指す方はぜひ利用してみてください。
建設業界の平均年収
建設業界には、さまざまな職種があります。転職サービスdoda「平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)」が公表した職種ごとの平均年収額を、以下に示しました。
職種 | 平均年収額 |
---|---|
設計(建設/土木) | 456万円 |
施工管理(建設/土木) | 451万円 |
測量/積算 | 406万円 |
大工/とび/左官/設備など | 344万円 |
製図/CADオペレーター(建設) | 341万円 |
営業-建設/不動産 | 416万円 |
資格があると年収が上がりやすいことは、建設業界の特徴です。代表的な資格の年収を、求人ボックスが公表したデータをもとにまとめました。
資格 | 平均年収額 |
---|---|
一級建築士 | 499万円 |
監理技術者 | 523万円 |
1級建築施工管理技士 | 565万円 |
建設業界の求人募集例
「建築転職」で取り扱っている建築系の求人の中から、建設業界の求人募集の一例をご紹介します。
(※2023年8月時点の求人情報です。募集内容は変わる可能性があります)
入社後3年後離職率5%未満の会社の求人
- 仕事内容:電気・設備の基本設計、CADによる図面作成、概算見積もりの算出など
- 応募条件:1級施工管理技士、または2級施工管理技士の資格
- 完全週休2日制(土日祝休み)、年間休日125日
- 年収4,000,000円 〜 8,000,000円
- 家族手当、住宅手当、退職金制度等あり
二級建築士有資格者募集の求人
- 仕事内容:住宅のプランやインテリアの企画・設計・提案
- 応募条件:二級建築士
- 週休2日制
- 年収2,500,000円 〜 7,000,000円
- 新築注文住宅をゼロからプランニングする仕事
尚、建築士の仕事内容についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
建築業界専門の転職エージェント「建築転職」では、上記以外にも好条件の求人を多数取り扱っています。登録いたただいた方には非公開求人情報も紹介しておりますので、ぜひ下記から無料登録ください。
おわりに
建設業界は以前から、未経験の方にも積極的に門戸を開いています。もちろん建設業界の実務経験や資格があれば、より有利な条件での転職も実現可能です。まずはご自身の経験とスキルを棚卸しして、どの職種を目指すか決めましょう。
また、建築専門の転職サイトや転職エージェントの利用は、より良い転職を実現する有効な方法です。転職活動に不安がある、サポートが欲しいという方は、経験豊富なキャリアアドバイザーに相談するとよいでしょう。
この記事を監修した人
株式会社トップリフォームPLUS
取締役
小森 武
保有資格:1級施工管理技士・一級建築士
最後までお読みいただきありがとうございます。
建築転職に無料登録いただくと
- 表には出ていない、各企業・職場のリアルな情報
- 年収750万円以上の非公開求人情報
がもらえます。
まだ転職を決めていなくても利用できますので、
ぜひご活用ください。